親友 ともと死ぬよりも・・・



「ただいまなのだ」
「んもうっ、出かけるときはちゃんと言ってってよね!」

今度の戦いでは珍しく井宿だけが、服がボロボロになって帰ってきた。
それもそのはず、井宿たちはたった今、飛皋と戦ってきたからだ。
そして、井宿は自分を犠牲にして飛皋を倒そうとしたのである。

「・・・、にしても、井宿がボロボロになって帰ってくるなんて
珍しいわねぇ。何かあったの?」
「なんでもないのだ。オイラ、部屋に戻るのだ。」

「・・・やっぱり、井宿にとってつらい戦いだったのねぇ。」
柳宿や軫宿は何も聞かずにいた。



「・・・はぁ。」

井宿は自室のベッドに横たわり今日の事を考えていた。
自分を犠牲にして飛皋を倒そうとした。
今度こそ天国で3人一緒になろうと・・・。

自分がやろうとした事は間違っていない。
そうしなければ美朱が危なかったのだ。

でも・・・
帰ってきた時のあの人の瞳が気になった。

怒っていた、愛しい人の瞳
翼宿の瞳を・・・

「コンコン」

「・・・、誰なのだ?」
「俺やけど、ちょっとええか?」

井宿はちょうど今自分が考えていた本人の声を聞いて驚いた。

「いっ、良いのだっ!」
起き上がってベッドの端に座る。

翼宿が静かに入ってきた。
でも、瞳はさっきのまま・・・

「さっきの怪我は大丈夫なんか?」
「あぁ、軫宿に治してもらったのだ。」
「さよか・・・」

沈黙が流れた。

井宿はドキッ、とした。
本気で怒っている事について質問しようとしている翼宿は、
いつもまず本題とは関係ないことから質問してくる。

『やはり、さっきの事を怒っているのだ。自分を犠牲にして、
尚且つ翼宿に燃やすようにお願いした事を・・・』

「なぁ井宿・・・。井宿は・・・」

やっぱりなのだ〜!

「井宿は俺の事、好きなんか?」

えっ・・・・・。
予想と違う事を聞かれ、井宿は戸惑った。

「さっさと質問に答えんかい!」

「・・、もっもちろんなのだ・・・。」
顔を染めながら答える。

「じゃあ、俺と一緒にいるっちゅう約束は忘れてないな?」

そう、2人はずっと前に約束したのだ。
生きてずっと一緒にいるのだと・・・。

「忘れるわけないのだ!」
「だったら、なんでさっきみたいなことをしたんや?!」

やはり本題はこの事だった。

「あっ・・、あれは美朱ちゃんを助ける為で・・・」
「そうやない!」
「へっ?」
「なんで飛皋と一緒に死のうとしたんや?!」

井宿には違いが理解できなかった。
すると、翼宿はこう付け加えた。

「お前は俺と生きるより、飛皋と死んで天国で3人で仲良くする方が
良かったんか?」
「・・・・・」

やっとわかった。
でも、答えられなかった・・・。
翼宿の事も大切だけど、親友も大切だった。

「やっぱ、そうなんか・・・。井宿には今より過去の方が大切
なんやな・・・。」
「・・・・・」

答えられない。
2つの「大切」というのに違いがある気もするが、わからない。

「俺は・・、俺はそんなん嫌や!」
「・・・・・翼宿?」
「俺はそんなん嫌や。お前に今を大切にして欲しいんや。」
「翼宿・・・。」

井宿にはそれしか言えなかった。



でも、井宿は今の翼宿の言葉でなんとなくわかった。
飛皋に対しての「大切」は友達に対してや思い出に対してである。
でも、翼宿に対しては、恋であり、「今」の事に対してなのである。

翼宿は黙っていた。


「オイラにとって今1番大切な人は・・・、翼宿なのだ。」
「へ?」
「確かに過去も大切なのだ。でも、過去よりは今の方が大切なのだ・・・。」
「井宿・・・」

井宿はにっこり笑っていた。

「今回の戦いももちろんだが、今の翼宿の言ってた事でやっと過去を
振り切れたのだ。ありがとうなのだ。」
「・・そうか。良かったやんか。」


「でも・・・」
「なんなのだ?」
「証拠はないんか?」

井宿はちょっと考えた後にっこりとこう言った。

「オイラを抱いて良いのだ」
「え・・・?」

翼宿は驚いた。確かに何度も自分からは抱いた事はあるが誘われたのは
初めてだった。

「良いんか?第一傷が・・・」
「翼宿に抱かれたら大丈夫になるのだ」
「俺は薬とちゃうで!」
「オイラには翼宿が1番の薬なのだ」
「でも、久し振りやし、優しくできへんで、きっと・・・。」
「良いのだ」

こんなに誘われたのだ。翼宿はもうとまらなかった。

井宿をベッドに押し倒し、優しく口付ける。



2人の夜は明けたばかりだ・・・











  ☆管理人からのコメント☆

第2作目!今度は翼×井に挑戦してみましたが、やっぱりなんとなく井×翼が抜けきらず変になっちゃいました。
良く分かりません(泣)
しかも、だんだんネタが尽きて最後の方はかなり適当、というか繋がってませんね・・・。
最初は翼宿に押し倒させようとしたのですが、かなり逸れました・・・。
しかも、また微妙にやきもちネタで・・・。くどいですか・・・?

文句メールも受け付けます(^^;)