それぞれの思い 5



「オイラは、翼宿の事が好きなのだ!!!」



「・・・、なっ、何言っとるんや?!だっ、第一俺ら男どう・・・」
「そんな事関係ないのだ!オイラは翼宿の事が、ずっと好きだったのだ!」
「んな事急に言われてもな・・・」
「翼宿はオイラの事嫌いなのだ?さっき仲間以上な気もするって、
一緒にいたい気もするって言っていたのだ。違うのか、翼宿?!」
「・・・だから・・・。」
「だからなんだ?」


翼宿ははっきり言ってまだ自分の気持ちがはっきりわかっていなかった
のである。
さっき井宿に言った事も本当の気持ちのような気もする。
でも、違うような気もするのである。
良くわからない・・・。
確かに仲間の事を考えてた時、井宿のことを1番良く考えていた。
でも、それが仲間としてか、違うのかわからない・・・。
はっきりわからないうちに『うん』とも言いたくない。

第一翼宿と井宿は男同士なのである。
井宿は関係ないとは言っていたが、翼宿はどうも気になって仕方ない。

でも、井宿の口調が変わっている事にいくら鈍感な翼宿も気がついた。
井宿が仮面を取った時の口調である。
井宿の事をはっきり知っているわけではないが、この口調の時は嘘を
ついてはいけない、というのをなんとなく感じた。



「・・俺は・・・」
「なんだ?はっきり言ってくれ!」

井宿も正直翼宿の正直な気持ちを聞くのは怖かった。
でも、言ったのに聞かないでいるのは嫌であった。

「俺はお前の気持ちを受ける事は出来ない・・・。」
「うっ・・・、なん・・で・・・・だ?」

翼宿は井宿を傷つけたくはなかったがはっきり言うことにした。

「確かにさっき言った事はほんまや。でも、まだ自分の気持ちはっきり
わからんのや。だから、そんな適当な気持ちで付き合えん。それに、
やっぱ男同士っちゅう所が気になるんや。だから、すまんな・・・。」
「そうなのだ、わかったのだ・・・。」



しばらく沈黙が流れた。
翼宿は気まずかった。
何か言おうとするが思いつかず、結局こう切り出した。

「そっ、そういや腹減ったな。今日はみんなにご馳走用意させるさかい、
食べてかへんか?」
「・・・あぁ。」
「ほ、ほな行こか。」
「・・・・・。」

井宿は黙ってついて行った。



『やっぱり駄目だったのだ。言うんではなかったのだ。でも、
こうなるのではないかと少しは予想していたのだ。だから良いのだ・・・。
・・・・・でも、意外な答えもあったのだ。翼宿がそんなに男同士の
恋愛を嫌だと思っているなんて・・・。これはもう直しようがないのだ・・・。
忘れよう。そうすれば平気なのだ。』



翼宿は歩いてはいるが上の空だった。
自分の本当の気持ちを言ったつもりだ。
でも、どうも変な感じがする。

『・・・気のせいや。あれが俺の本当の気持ちや。』


「ほら、井宿ぃ!速く歩かんかい!」

井宿はちらっと翼宿を見た後無言で少し足を速めた。





「それっ、どんどん飲めやっ!」
「いっきいっき!」


あれから翼宿はみんなに頼み大宴会を開いたのである。

しかし、井宿ははしゃぐ気持ちにはなれなかった。
いつもはお酒も結構飲むほうなのに今日はまだ1杯目である。

「井宿はんどないしたんや?!もっと騒ぎましょうや!」

攻児が声をかけてきた。

「あっ、ありがとうなのだ。」

返事はするが上の空。

「なんや、井宿はんも暗いなぁ。幻狼もからっきしや。最近あの幻狼が
ため息なんぞついておったから心配しとったんです。今も酒も全然
飲んでへんし、食べてへん。しかも、今日は2人で話してへんな?一体
2人ともどないしたんですか?」
「別になんにもないのだ。平気なのだ。」

さすがに本当の事は言えなかった。


「すまんな、俺は部屋いくわ。みんなはまだまだやっとってええで!
ほな!」

そういうと足早に部屋を出た。

「お頭、最近ず〜と変やったけど、今日は一段と変やで。」
至t山のみんなは不思議がる。

「あっ、オイラももうお腹いっぱいだからもう部屋に行かせてもらうのだ。
今日はありがとうなのだ。ではなのだ・・・。」

「・・・・・、今日は井宿はんも変や。」

みんなの謎は増えるばかりである・・・。





「あかん、さっきの事が離れへん・・・。俺は本当の事を言った。
だからええやないか!」

翼宿はベッドの端に座ってまだ悩んでいた。
その時・・・

「コンコン」
「誰や?」

考え事の途中だったのでついぶっきらぼうになる。

「オイラなのだが入っていいのだ?」
「おっ・・・、おう」

翼宿はなんとか平静を保って答えた・・・。











  ☆管理人からのコメント☆

いよいよ第5弾まで来ました!
井宿フられた〜!!!でも、実は私は書いてみたかった・・・。井宿ファンの人!文句は受けます。ホントすみま
せん・・・。でも、まだ続きますから・・・。先は言えませんが(まず出来てないし・・・)読んでやって下さい!
翼宿も揺れてますねぇ。これも書いてみたかったのです。この後はどうなるでしょうか・・・?

お楽しみに〜!






→6へ


←4へ