それぞれの思い 2



翼宿が仲間の事を考え始めた頃、井宿は北甲国にいた。

井宿は美朱たちと別れた後再び流浪の僧に戻り各地を旅していた。
そして、倶東国を旅した後、ここ北甲国に来たのである。

井宿は特烏蘭に着いた。
どんどん歩いていくとある広場に出た。
そこには上に玄武が彫られた石碑があった。
それを見た時、ふと仲間の事を思い出した。

「柳宿・・・」

そうこの辺りは最後に柳宿と別れた所なのである。
井宿は皆の事を思い出していた。

「柳宿」
神座宝を奪われないがために青龍の1人と戦い、更に道を開く為に
命を落とした。

「張宿」
仲間を助ける為、乗り移られた青龍の1人と共に命を落とした。

「軫宿」
自分たちを守った後、医者として最愛の人と同じ名前の少女を救って
命を落とした。

「星宿様」
国の為、奥さんと世継ぎ、そして仲間のために自ら戦地に赴き、青龍
七星の心宿と戦い命を落とした。

「そして・・・。」
自分以外に唯一この世界に残る人。
オレンジ色の髪をしていて、ガキ大将を大きくしたような自由奔放で
明るい男。
でも、それでいて仲間の中で1番仲間思いである。

井宿は翼宿の事が好きであった。

『いつからこんなに好きになったのだろう・・・』

ドキッときたのは初めて会った時である。
星宿様として宮殿にいたので、井宿は七星士探しの旅には加わって
いなかったので、全員が揃って一行が宮殿に帰ってきた時に初めて皆の
顔を知った。

その時、一目で彼に惹かれた。
最初はただ明るいだけだと思っていた。
でも一緒に戦っていくうちに彼の全てに惹かれていった。

しかし、別れはやってきた。
もちろん、井宿は翼宿とずっと一緒にいたかった。
だから、この気持ちを言ってしまおうかとも思った。
でも・・・
翼宿には至t山という、大切な帰る場所がある。
自分とは違う道。
自分には行けない道。
だから、井宿はこの気持ちを言わず、別れた。
言えなかった・・・。

でも、この気持ちは忘れられない。





「・・・いけないのだ!ボ〜っとしてしまったのだ!」

井宿はハッと我に返った。

「そうだ、柳宿の墓参りに行こう。」

そう思い当たり歩き出したとき・・・


『・・・ちり!』

「えっ?」

今声がした気がした。
たった今まで考えていた人の声がした気がした・・・。

『井宿!井宿!』

やはりあの人の声だ。
翼宿の声だ。

「翼宿なのだ?!」

井宿は嬉しくてたまらない。

「井宿〜!!!」

強く呼ばれた。
その思った瞬間井宿はとっさに傘をサッと宙に上げた。


その後、井宿の体は消えていた・・・。











  ☆管理人からのコメント☆

来ました、第2弾!今回は井宿視点で書きました。前回よりは長くなったでしょうか・・・?
でも、前回と同じ文を使ったところがあるので、やっぱ実質的には短いかも・・・。
でも、次回から急展開(になる予定)なので長くなるでしょう、うん! 今しばらくお待ち下さい。






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