記念すべきこの日に



2人がいるのは、様々な花が一面に咲き乱れる野原

今日は2人の誕生日、と言う事で、2人で出かけよう、と言う事に
なったので、お昼も持参でやって来ていたのだ。


「誕生日おめでとう。今日も綺麗だね、角宿」
「そうなの?でも俺には、花の中にいる兄キの方が綺麗だと思うけどな」

亢宿は顔から火が出るか、と言うほど真っ赤になった。
そんな亢宿が、角宿にはまた可愛いと思うのだが、これ以上言うのは
やめておいた。

2人は木陰で休む事にした。


とその時、近くから若い男女の声がしてきた。
こっちへ近づいてきているようだ。

「いやん、あなたったら〜」
「おいっ、こら〜」

2人の横をちょうど通り過ぎようとした時、若い男女が2人に気付いた。

「あらっ、こんな所に美男子が2人も〜!」
「「えっ?!」」
「おいっ、俺の方がカッコイイだろ〜!?」
「なにっ、妬いてるの〜?!大丈夫っ、私はあんたのものだからねっv」

そう言うと、2人の前でかなりイチャつき始めた。
2人はすっかり蚊帳の外だった。

「あっ、あのぉ・・・」

亢宿から先に口を開いた。
2人が、やっと我に返った。

「あっ、ごめんなさいねっ」
「お2人はご結婚なさってるんですか?」
「実は、昨日結婚したばっかなんです〜」
「これからは、ず〜っと一緒よっv」

それを聞くと、男が女の肩を抱いて引き寄せた。
女は、ポスッと男の腕の中に収まった。

「きゃっ、んもうっ!」

怒っている風なのは口だけ
女はむしろ嬉しそうな顔をしている。

「本当に〜。
にしても、あなたたち、本当に可愛いわねっ。
ねぇあなた、私こんな可愛い子供が欲しいなv」
「そうだな、早く子供も欲しいなぁ」

またまたイチャついている。

しばらくして、やっと若い男女は、2人がちょっと恥ずかし気に
している事に気付いた。

「あっ、ごめんなっ、いきなりこんな話してっ」
「あっいえ・・・」
「さっあなた、早く薬草摘みに行きましょうよ〜」

女が男の腕を引っ張る。

「まったく、ころころ変わるな〜。どうもすみませんっ」
「あっ、いえっ・・・」

亢宿はそうとしか言えなかった。

「じゃあ、さようならっ!」
「さようなら」

嵐の様な2人が去っていった・・・



「まったく、すっげ〜元気な人たちだったな、兄キ」
「えっ、あぁそうだね・・・」

亢宿の返事がいかにも動揺していた。

「兄キ、どうしたの?」
「えっ?別に何でも・・・」

言葉の最後は飲み込まれてしまった。
角宿が、亢宿の地面に置かれた手に自分のを重ね、瞳を覗き込んで
きたものだから・・・

「亢宿・・・!」


嘘も、沈黙さえも許さないと言った気迫
角宿に、こんな瞳で見られて名前で呼ばれた時には、本当の事を
言わざるを得なかった。

「なんで・・・、なんで僕たちって双子なんだろうな・・・」

瞳を逸らしながら、それでもなんとか声に出した。

「えっ・・・。兄キ、一体どうしたんだよ?」

角宿には何がなんだかわかるはずもない。
亢宿は顔を上げた。
今度は角宿の瞳をしっかりと見つめた。

「何で僕たちは双子なんだよ?!なんで、僕は男なの?!
どうして、どうして男同士じゃ結婚できないんだよ・・・」
「兄キ・・・?」

亢宿の、こんなに切なげな表情を、角宿は見た事がなかった。

角宿は、自分の思いを打ち明ける事にした。

「俺は、兄キを一生離さない。離すつもりなんてないんだ・・・」
「角宿・・・」

角宿の目に、嘘を言っている色はなかった。
強い決意の色が見えた。

でも、亢宿には「うん」とは言えなかった。
なぜなら・・・・・

「角宿は、まずなにより、僕の弟だ。僕は兄として、お前に幸せに
なってもらいたいんだ。素敵な女性と出会って、結婚して・・・。
僕が、お前のそんな幸せを奪うことは出来ない。出来ないんだ・・・」

まるで自分に言い聞かすようでもあった。
そして、深刻な顔で話していたのが嘘のような笑顔で角宿を見つめた。
しかし、その顔からは寂しさの色も窺えた。

角宿は、その寂しさを感じ取った。

「僕は、角宿が大好きだよ。だからお前から、僕のせいで、お前の
幸せを奪いたくないんだ・・・」
「・・・ってない・・・」

やっとの事で紡ぎ出したかのように、か細い声でそう言った。

「えっ、今、なんて・・・」
「わかってないよ、兄キ・・・」

今度はしっかりと亢宿を見つめた。

「女と結婚するのが俺の幸せだと思ってるのか?!そんなの間違ってる!!
さっきも言っただろ?俺は兄キを一生離さないって!
俺が1番好きなのは、兄キなんだよ!兄キは俺の事嫌いなのか?!
俺じゃ駄目なのか?!結婚できないから?兄キは女の人といる方が幸せなの?!」

返す言葉が見つからなかった。

角宿の言葉は、とても嬉しかった。
亢宿だって、角宿とこのままずっと一緒にいたいという気持ちがある。

でも、角宿のためにも、ああ言うしかなかった。

でも、角宿の気持ちは自分と一緒のものだとわかったのだ。
もう嬉しさを隠し切れない。

「どうなんだよ。兄キ?!」
「僕は・・・・・僕は、角宿が大好きだよ。」

こうはっきり言われるとは思っていなかったので角宿は顔中真っ赤になった。

「僕も、角宿とずっと一緒にいたいよ。
でも、お前はそれで良いのか?僕なんかでいいの?」
「何言ってるんだよ、俺が兄キを離さないって言ったんだろ?兄キが
嫌でも、俺はもう兄キを離すつもりはないぜ?」
「・・・ありがとう・・・・・。大好きだよ、角宿・・・」

今度は満面の笑みでそう答えた。


「そうだ。ここで、僕たちの婚儀をやらないか?」
「婚儀?!」
「そんな大層な物じゃないよ。ただ、これから一生お互いを愛し続ける、
と誓い合うんだ。
僕らの誕生日だし、記念すべき日だしね」
「うん、それ良いじゃん!やろやろっ!」

2人は手を取り合って立ち上がると、日の光の下へと出た。
野原の真ん中まで来て立ち止まる。
お互いが見つめ合う。

「俺、角宿は、この亢宿を、一生愛し、幸せにする事を、誓います。」

「僕、亢宿は、この角宿を、一生愛し、共に幸せになる事を、誓います。」

2人に笑みがもれる。

そのまま、どちらからともなく口付けた。
とても熱い、愛の誓い

もう2度と離れない

もう2度と離さない


誕生日

そんな記念日に、2人は心からこう誓った





それを見ているのは、野原の花たち

2人の誓いの証人たち・・・・・











  ☆管理人からのコメント☆

はい!! 皆様、お付き合い下さってありがとうございました(^^)

そして・・・・・
亢宿&角宿!!お誕生日おめでと〜う!!!!!
前から企画してたものの、ずっと書けなくてPCの前にどれだけいた事か・・・
そして、やっと書き終わった〜!!
って思ったら、よく考えると誕生日になにも関係のない話になってしまって(−−;)
で、急遽誕生日に婚儀をした、という事にしたんです(^^;)
にしても、婚儀までしちゃいましたよ〜この2人っ
というか、婚儀させました、私が(爆)

あ〜にしても・・・
次のフリー配布では絶対甘々にしてやる!!
って思ってたのに、どうしてもちょっとはシリアスな部分が出ちゃうんですよね(−−;)
私って一体・・・?
じっ次回こそはっ(汗)

ではでは〜(逃げ・・・?)