昼寝の前の甘いひと時



「傷、大丈夫か?」

「あぁ、これ位・・・いつっ!」

「まだ動き回るんじゃない!」

「ちぇっ」





時刻は昼を回った辺りであろうか


室宿と多喜子は薬草を探しに出かけている。
虚宿のケガの治療のためである。

女宿はというと
「誰がこいつのために動きまわってやるかっ」
といって留守番を申し出た。

本当は、薬草探しよりケガ人の看病の方が大変だと思うのだが・・・
まぁそこは気にしない(笑)


「ほらっ、ケガは浅かねぇんだ!ちゃんと寝てろ!」

女宿に言われ、渋々寝転がる虚宿
子供みたいである


「なんでお前、多喜子たちと行かなかったんだよ?」
「さっき言ったとおりだ。お前のために探し回るなんてごめんだ」
「なにぃ!・・・ったぁ〜」

虚宿がガバッと起き上がったのは良いのだが・・・
ケガしている事を忘れてしまっていたようで、呻きながらケガを押さえている。

「・・・っでも、俺と留守番の方が疲れると思うぞ?」
「自分で言うな・・・」
「じゃあなんで残ったんだよ?」
「・・・・・」

何故か女宿は俯いてしまった。
その理由は、虚宿にはまったくわからなかった。

「どうしたんだよ?」
「・・・・・良いから寝てろ」

押し倒されるように布団に寝かされる。
一瞬、虚宿の胸は高鳴った。



前から仄かに浮かんでいたこの思い
気付かぬふりをして自分を騙してきた。
気付きたくなくて、相手を遠ざけようとした。

『こんな奴を、愛しく思うなんて・・・』


全てははかないこの思いゆえ・・・



虚宿は胸の高鳴りを隠そうとした
この思いだけは知られたくなかった

そんな事に一生懸命になっていると、すぐ横で人の気配がした。
振り向くと女宿が自分のすぐ横に寝転んでいた。

「なっなんでお前も寝転がってんだよ?!」
「暇だから俺も寝る」

ただそれだけ言うと、仰向けになった。


沈黙が2人を支配する。





「・・・なぁ?」
「なんだよ?」

女宿はまだ起きていた

「・・・お前、好きな奴って、いるか?」

女宿は動かなかった

「あぁ」
「そっか・・・

・・・多喜子か?」

意を決して聞いてみた。

「俺は、別にそんな目であいつを見てねぇよ。」
「じゃあ、お前の好きな奴ってどんな奴なんだよ?俺の知ってる奴?」
「そっそれは・・・」
「ん??
あっ、照れてる〜誰だよ、言っちゃえよ!」

虚宿が女宿を肘でつつく。

女宿は顔だけそっぽを向いた
しかし、顔は真っ赤になっているようだ。


「早く寝ろ」

それだけ言って、女宿は体も虚宿の反対に向ける。


虚宿は話をはぐらかされた事に少し文句を言っていた。

が、しばらくすると、規則正しい寝息が聞こえてきた。


女宿は虚宿の方へ向き返る。
もう1度寝ているかを確かめるために、呼び掛けてみる

「おい、起きてるか?」
「・・・すぅ・・・・・」

どうやら、完璧に寝ているようだ。

女宿は寝転んだまま、虚宿の髪を梳いてやった。
すると、虚宿の顔がほころぶ。
それがとっても微笑ましくて、女宿まで顔がほころぶのだった。

「ったくお前って奴は・・・」

さっき、虚宿に聞かれた事を思い浮かべていた。

『お前、好きな奴って、いるか?』

・・・そんな事、答えられるはずなかった。



『相手は・・・、お前なんだからな・・・』

髪を梳く手を止めた。
もう1度、改めて虚宿の顔をみつめた。

『もし、この事をお前に言ったら、気持ち悪がられるだろうな』

心の中で自嘲した


と、そんな時・・・

「・・・ん・・・・・・」

虚宿がこちらへ寝返りをうつ。
髪を梳いていた女宿のすぐ横に虚宿の顔があった

鼻の先が今にも触れそうである
唇だって、ちょっと顔を動かせば届くであろう・・・

触れてみたくなった
柔らかそうな、その唇に・・・・・

顔をのばしてみた
もうあと少し・・・

「・・ん・・・・・うる・・・きぃ・・・・・ぅん・・・」

また虚宿は仰向けに向き直った



触れそうで触れない
そんな距離で紡がれた甘く切ない言葉


でも、触れなくて良かったのかもしれない。
触れてしまったら、もう元には戻れない気がしたから・・・


でも、逆に虚宿への思いがより一層募る。

虚宿は、「お前」でも「リムド」でもなく、「女宿」と呼んだのだ。

たとえ無意識でも、いや、無意識だからこそ、嬉しかった。


『少しは期待しても良いのか・・・この思いに?』



1度髪を梳いてやったのち、女宿も夢の世界へと入っていった・・・
甘い甘い、夢の中へ・・・・・・・・・・





「虚宿さ〜ん、リムドさ〜ん、今かえっ・・・」
「しぃ〜〜〜!」

多喜子はとっさに室宿の口を手で押さえた。

「2人とも、寝ちゃってる。寝顔、可愛いわね〜」




「珍しいですねぇ」
「ソルエンさん?!」
「リムド様がこのように熟睡なさったのを見たのは久し振りです。
七星士としての力を開放なさった日から、たとえ私が近くにいても、
敵を、お父上を恐れてか、いつでもしっかりとお休みになっていませんでした・・・」
「そうだったんですか・・・。
それにしても、よっぽど疲れてたのね」
「いえ、それだけではないでしょうが・・・」
「それだけじゃないって・・・?」

ソルエンが多喜子の肩を軽く叩いた。

「さっ、2人が起きた時の為にも、夕飯を作っておきましょう。」
「えっ、えぇ・・・」
「さぁ、室宿君も手伝ってください。」
「ははははい!!」

いかにも話を逸らされた気がしたが、この際、多喜子は気にしないことにした。

「よし、おいしい物作ろうじゃない!」



2人の寝る中、横ではおいしい匂いを立てて料理が作られるのであった。











  ☆管理人からのコメント☆

緋桃ちゃんとの合同作業〜★☆
えっと、なんでも私が随分前に緋桃ちゃんにキリリクしていたのを合作という形にしてくれたそうです
↑伝聞系なのは、私が忘れちゃったからです(爆死)
冬休みには無理だったので、なんとか緋桃ちゃんの成人式には間に合わせたい、と頑張って書きました〜!
どうだったでしょうか・・・・・?
内容むちゃくちゃです><
ってか、女宿がこんな態度とるってのが私にはありえなくて><
だったら何で書いたって??
だって、そのつもりなくてもキャラが勝手に動くんだもん〜(笑)
でも、ホント、書いてるうちに勝手にストーリーが進んでいて、最後には作者の思ってた通りにいかないんです;;
はぁ、女宿は照れて自分の気持ちなんて滅多に言わない、ってのが私のイメージなのに〜
最近、自分の持つキャラのイメージとかけ離れた小説ばっかり書いてる気がします;;
皆様、どうかお許しを〜〜〜

緋桃ちゃ〜ん、ホント、こんなんで良かったら貰ってやって下さい(・・;)

ってまずい!!自己弁護で終わってる〜〜〜!!!!!
最後に!!
小説の最後、ソルエンが言いかけたことは、きっと女宿と虚宿の2人の思いを知っての一言だったでしょうねぇ・・・
きっと、ソルエンは2人の仲を応援してるんじゃないかと思います〜
それも全ては兄心・・・?(笑)
でもでも、そんな事してると虚宿に寝取られるぞ〜〜〜(ってか逆だろ?!(爆笑))
なんか、特に推奨してるわけじゃありませんが、ソルエンとリムドって出来てる感じしません?(爆)
そう思う亜紀なのでした(^^;)

ではでは、ホント長くなりましたが、これにて〜♪