あなたとお揃いの浴衣で


「ねぇ巽〜、これ着てくれる??」

都筑が巽の前に差し出した服、それは・・・・・


「浴衣、ですか??どうしたんですか、急に・・・」
「えっ・・・ど、どうしても、巽に来て欲しくて・・・・・」

都筑が手渡してきた浴衣は、いかにも巽に合いそうな、茶色いシンプルなもので
巽は一目で心惹かれた


「えっ、えぇ良いですけど・・・・・けど・・・」
「やったぁ〜〜じゃあすぐ着替えてね!!俺も着替えてくるからっ!」

そういうなり、巽の話も聞かずに都筑さんは自分の部屋に篭ってしまった。

仕方なく、巽もすぐに着替え始めた。


いざ着てみると、サイズもぴったりだし、着心地も良くて、さすがは都筑さんだと巽は惚気ていた。

鏡の前で、都筑さんのくれた浴衣を着た自分を見て微笑んでいると
都筑さんも部屋から出てきたので、巽はなんとか顔を引き締めて都筑の方を振り返った。

すると・・・・・

「つ、都筑さん・・・・・」
「どう、巽?似合う〜??」

そこには、同じく浴衣を着た都筑さんが立っていた。
紺色の、巽と同じ柄の浴衣

「どう〜巽とお揃いで買ってきたの〜v」

女の子みたいに、くるりと1回転してみせる。
その時裾が肌蹴てすらっとした綺麗な足がちらりと見えた。
ただでさえ、浴衣を着た都筑を見る機会などほとんどなくて嬉しさいっぱいなのに、そんなことをされてはドキッとしてしまう。


「んっ?どうしたの?」

思わず、昼間から人には言えない妄想をしてしまった巽は、都筑のその言葉にはっと我に返った。


「えっ、えぇ・・・似合ってますよ。」
「巽も、やっぱり似合ってるよ〜vv」
「そっ、そうですか///・・・・・都筑さんには負けますよ・・・
「何か言った?」
「いっいえ・・・・・」

思わず都筑から目を逸らした。
その時、巽の腕はすっと引っ張られた。

見なくてもわかる。
都筑さんの、心地良い体温を感じた・・・


「さて、じゃあ出掛けよっかw」
「えっ、どこへですか?」
「まぁまぁ良いからっ。早く荷物持っていくよ〜」

都筑はたたたっと玄関まで駆けて行くと、さっさと下駄を履いてこちらに振り向く。
その姿を見た巽は、財布だけ取ると急いで玄関へ向かった。

そこにも、都筑さんとおそろいの下駄があった。

嬉しくなった巽は、さっさと下駄を履くと、扉を開けて外へ歩き出した







行き先は着くまでナイショ、と言われて、ひたすら都筑さんの後を追った。

だんだんと、人混みがひどくなってきた。
かろうじて先が見える、と言う状態で必死に前を見ていた巽の目のした物は・・・


「花火大会、ですか?」
「そうだよ、やっぱり巽知らなかったんだ〜」
「えぇ。」
「1度、来てみたかったんだ〜、巽とね///」

都筑の方に振り向くと、都筑は顔を伏せていた。
しかし、耳まで真っ赤になっているのはすぐにわかった。


「私も、あなたと来れて、とても幸せです。しかも、おそろいの浴衣まで揃えて頂けてるとは思いませんでした。」
「それは衝動買いしちゃったんだ〜。一目見て、巽に似合うな〜って思って。
ちょうど、巽のと俺の着てるこの2着しか残ってなくて、だからつい・・・」
「はぁ、そんな事やってるから、お金なくなっちゃうんですよ?」
「だ、だって・・・・・」

両手で巽の着物の裾を掴む。
そのままいじけた目で見詰められては、許さない訳にはいかない。

まぁ、惚れた弱み、である(笑)



「しょうがないですね。連れてきて頂いたのと、都筑さんとお揃いの浴衣を買ってきて頂いたんです。
 2着とも、あとで私が払いますよ。」
「えっ、で、でも、俺の分まで・・・?」
「はい。私からのお礼です。」
「えっ、そんな大層な事してないよ〜///」
「いえ、私には大層な事なんですよ。」

そう言うと、巽は都筑の手を握った。

「混んでますから、離れないようにしましょう。
大丈夫ですよ、これだけ人が多かったら、誰も気にしませんって」

巽の大胆な行動にプラスして、都筑の大好きな巽の笑顔でこんな事を言われてしまえば、もう断る理由はない。

都筑からも、ぎゅっと巽の手を握り返した。

「///さっ、早く場所取りしよっ。良い場所見つけて花火見るんだもんっ」
「はい、そうしましょう」


2人は人混みの中をずっとぴたっとくっついたまま歩いた。







結局、会場の中へ入ったのは始まる10分前で、その頃には良い場所などほとんど残っていなくて
2人はなんとか花火の見えそうな場所を確保した。

たまたま、この辺りには人がほとんどいなかった。
確かに、あんまり良い場所とは言えないだろう・・・


「もう少し早く来ればよかったな〜」
「大丈夫ですよ、ここからでも見えますよ。」

心配そうな顔をしている都筑を慰める。


と、『パァ〜ン』と言う音を合図に花火大会が始まった。
一応、ちゃんと花火の全景が見えていた。

最初からすごい勢いで花火が上がっていく。
1時間で1万発もあがるそうだ。
迫力が違う。


「綺麗だね〜」
「そうですね。私、花火大会に来たのは初めてなんです」
「そうだったの??じゃあ、巽の花火大会初参加を俺がゲットだねvv」

にこっと都筑が巽に笑いかけたその後ろで、大きな花火が1つ上がった。
それが、あまりにも絵になっていて・・・

巽は思わず都筑に見惚れてしまった


「?・・・巽?」
「あっ、すみません。」
「うっうんん・・・・・」

2人は視線を花火に戻した。



「花火ってさ、綺麗だけど、でも・・・・・なんだか、切ないよね。一瞬で、消えちゃうんだもん・・・。」
「そうですね・・・、でも、だからこそ、綺麗なんじゃないですか?」

花火を見たまま話していた巽だが、都筑が俯いたのを視界の端に捉えて、都筑の方へ向き直った。



俯いたまま、都筑はポツンポツンと言葉を紡ぐ。


「なんで、こんなに儚いんだろう・・・・・
この世の物、全部が儚い気がする・・・・・
それなら・・・・・俺たちの幸せも、いつかは消えてしまう、儚い物なのかなぁ・・・」
「・・・・・・・、あなたは、またそんなことを考えていたんですか?」
「巽と一緒にいて、考える回数は減ったよ。でも、どうしても、思い出しちゃうんだ・・・・・
だって、俺は、巽と離れたくない、一生一緒にいて、

・・・・・一生幸せでいたい・・・」


巽は、すっと都筑の腰に手を回すと自分の方へ引き寄せた。

「私の気持ちが、その程度の物だと思っているんですか?」
「そっ、そんな事ないよっ。巽が、俺のこと、大切にしてくれてるのは知ってるよ。
でもね、世界の全てものが、儚く見えると、俺たちの関係だって、やっぱり儚い物に思えちゃって・・・」
「そんな事・・・・・
この世の全ての物が儚いなんて、そんな事は誰も決めていません。
たとえ、全ての物が儚く消えていくものだとしても、私の気持ちだけは、例外です。
この世に、全てなんて物はないんですよ、都筑さん。例外は、必ず存在するんです。
それだったら、私たちがその例外になっちゃいましょうよ。
それ位、私はあなたを愛していますよ?」
「た、たつみぃ〜〜〜」

がばっと、都筑が巽に抱きついてきた。
幸い、みんな花火に夢中で誰も見ていないようだが、
都筑が公衆の面前でこういうことをするのは初めてのことで、巽はとっても嬉しくなった。


「俺は、巽の事、一生好きでいるからねっ!」
「もちろん、私もですよ。
 死神には『永遠』という時間が約束されてますから。」
「そうだねっ。俺、初めて死神になって良かったって思っちゃった。
 こんな仕事だけど、巽に会うことが出来たから・・・・・」
「私もですよ、都筑さん」



巽の唇が、都筑の唇と重なる。

ちょうどその時、大輪の花火が夜空に咲き誇っていた。



一瞬の命で、一生分の時間を生きようとするかのように・・・・・











  ☆管理人からのコメント☆

雲川様のサイトが7/29に1周年を迎えられたので、ヘボ小説ですが、お祝いに送らせて頂きました(^^;)
まぁ、29日には遅れてしまって、送ったのはホントにぎりぎり7月中、って感じでした(爆死)
しかも、全然の計画無しに書き始めたもんで、文がめちゃくちゃなきがします(^^;)
ホントにごめんなさい(・・;)
いつもいつも、私が貰う一方だったので、こういう時位は頑張ってお祝いをしたい、と思ったのですが・・・
もう少しちゃんと計画しておくべきでした(爆)
にしても、花火大会ネタは、去年も書いたな〜(ふし遊で)
ネタの少ない奴でして(爆)
誰か、ネタ下さい><

こんな文ですが、貰っていただけると幸いです^^
誤字脱字があったらすみません(^^;)
それでは改めまして・・・・・
サイト1周年、おめでとうございます★☆
これからも、どうぞよろしくお願いします(>▽<)