「はぁ・・・・・」



天使の雪 上巻



俊宇が窓の外を見つめながら大きなため息をついた。


「ん?どうしたのだ?どこか具合でも悪いのだ?」
「えっ、いいや、平気やでっ」
「今日はクリスマスなんだから、もっと明るくいくのだ〜」



そう。
今日はクリスマス

世間では恋人たちの日
・・・もとい、世界中のみんなが浮かれる。
街中が飾られキラキラと輝いている。

芳准が浮かれている原因もクリスマスにある。
俊宇とイチャイチャラブラブ(笑)しようなどと考えているのだ。

しかし、俊宇の方はあまり乗り気ではないようだ。

1日中、窓の外をじっと見つめては溜め息をついている。
芳准との会話にも上の空

「・・・はぁ〜・・・・・」

もう何度目であろうか・・・

俊宇が大丈夫だ、と言うのだからと、聞かぬふりをしていたのだ。

しかし、芳准には俊宇がどうして悩み事があるのかわからなかった。
だって、今日は年に1度しかないクリスマスなのだ。

『だ〜!俊宇は今日に限って何をそんなに悩んでるのだ〜!』


芳准は段々イラついてきた。

しかし、そこへ俊宇の溜め息


タイミングが悪かった・・・

「俊宇、いい加減にするのだ!
何をそんなに悩んでいるのだ?!オイラにも相談できない事なのだ?

それに、今日はクリスマスなのだ!
・・・・・いつもより、俊宇と一緒にいたいのだ・・・」

突然の言葉
しかも最後は消え入るように囁かれた
そんな芳准に俊宇はなんと言って良いのか分からなかった。

「悩みがあるなら相談してほしいのだ、嫌な事があるなら何でも
オイラに言うのだ。

でも・・・今日位はそんな事全部忘れてオイラと一緒にいてくれ
ないのだ?
たった1度しかない、2004年のクリスマスなのだ・・・」


沈黙が流れる
ほんのちょっとであったのに、芳准には永遠のように感じられた。



「・・・・・・俺かて・・・」

そんな中、先に沈黙を破ったのは俊宇であった。


「俺やて、芳准と一緒に街を歩いてみたいんや。手繋いで、恋人
みたいにしてみたいんや!
でも、俺ら、普通やないんや・・・俺らは良くても、回りから見
れば普通やないんや・・・・・」

最後の方はかすれてよく聞こえなかった。
もしかしたら、泣いていたのかもしれない


俊宇が自分との事をこんなに考えてくれていた事が嬉しかった。

でも、同時に俊宇が未だに「普通」でない事に悩んでる事を知った。


2人が付き合い始めて、一体どれ位経つのであろう・・・
2人が一緒に暮らし始めて、一体どの位経つのだろう・・・
年月は何も解決してくれないのだろうか・・・?


芳准は俊宇を好きになった時から、回りの目など気にはならなかった。
それ程、俊宇を愛していた。

しかし、俊宇はいつになっても、「普通」である事にこだわる。
芳准には不思議でたまらなかった。


「普通でない事のどこがいけないのだ?
相手の事が好きなら、それで十分なのだ。
それとも俊宇は、オイラの事嫌いなのだ?」
「そっそんな事・・・」
「だったら!周りなんてどうでも良いのだ!」
「それはちゃう!!」
「違わないのだ!!」

突然立ち上がったかと思うと、芳准は俊宇の腕を引っ張り立ち上がらせた。

「なっなんや?!」
「出掛けるのだ!もう夜だし、周りを気にしてる人なんてほとんど
いないのだ!」

玄関まで強引に引っ張るが、俊宇も抵抗をやめない。


と、突然芳准は俊宇の手を放した。
いきなり放された反動で俊宇は床に倒れこんだ。

「こらぁ、いきなり放すな!
・・・・・芳准?」

芳准の只ならぬ気配に俊宇は何も言えない。

芳准が突然動き出し、また引っ張られるのかと思った。
が、芳准は俊宇の方ではなく、玄関へ向かっていった。
そして、何故か靴を履いている。

「ほっ芳准・・・・・?どこ行くんや?」
「普通に見えれば俊宇は良いのだ?」
「へっ?」

芳准の言った事がまったく理解できない。

「待ってるのだ。ちょっと出かけてくるのだ!」
「ちょっ芳准!?」

バタン

俊宇は、ただ芳准の出て行った玄関を見つめていた。











  ☆管理人からのコメント☆

メリークリスマス

さて、24日配布分ですw
どうでしたでしょうか・・・?
といっても、まだホント始まったばかりの所ですが(^^;)
やっぱり、ホントのクリスマスは明日ですから(爆)
短いしね・・・
でも、明日は急展開ですよ〜
ちょこっと待ってて下さいね〜☆

さて、現代パラレル、どうだったでしょうか???
書き慣れなくてかなり手こずってしまいました(^^;)
しかも、ホントに久し振りに書いたもんで、かなり変ですが・・・
多めに見てやって下さい(^^;)

題名ですが、これは某ドラマのある話に出てきたものからお借りしました。
明日の話はそれを使った所がありますw
(著作権侵害にならないと良いな(^^;))