世界で1番、君を大切に思う 第1話



「なんでそんなに離れて歩くのだ〜?もっとくっつくのだ〜」
「そんな事したら暑いやないか!第一、恥ずいんや!!」

今日も紅南国の城下町にこんな会話が繰り広げられている。
その会話の主たちは誰かというと、もちろん・・・・・


「こらっ、腕を引っ張るんやない、井宿!」
「だって〜翼宿が離れていくからなのだ〜どうせみんな知っているのだから、
恥ずかしがることはないのだ〜」

そう、もうこの2人の仲は城下町じゃ有名となっていた。
この公認カップルは、今や街1番の仲良しカップルとして知らない人など誰1人いなかった。

今日もこうして歩いている間に何人もの人に「今日も仲良しだね〜」とか、
「喧嘩するほど仲が良いんだよ」など・・・
挙句の果てにまだ小さな子供にまで「お兄ちゃんたち、ラッブラブ〜vv」
などと言われ、嬉しそうに言葉を返す井宿と反対に、翼宿は声をかけられるたびに
言葉も返せないほど照れてしまっているのであった。

しかし、その気になれば街へ出る事を断る事もできるのに、それをしないのだから、
翼宿もまんざら嫌ではないのであろう。
なんやかんや言って、2人とも相思相愛のラブラブなのである(笑)


「嫌や、ったら嫌なんや〜!!」
「あらっ、今日も仲が良いのね〜」

いつも通るお店の女主人から声がかけられた。

「あ〜ちょっと聞いて欲しいのですだ〜翼宿ったら、手も繋いでくれないのだ〜
恋人同士なのに、ひどいのだ〜;;」
「あらあら、翼宿さんはウブなんですね〜。でも、お互い男なんだから、
そんな事に照れる事ありませんよ〜井宿さんが可哀想ですよ?」

『男同士だから余計恥ずかしいんや!!』
とは言い出せないでいる翼宿であった・・・。


「翼宿、オイラは翼宿のこと、世界で1番大切なのだ。幸せにするのだ。だから・・・」
「ちょっ井宿!恥ずかしいから止めや!」
「あらあら、せっかくの大告白、どうして翼宿さんは受け取ってあげないんだい?
ところで・・・・・」

女主人は少しばかり間を持たせてこう言った。

「あなたたちは一体どこまでの仲なの?」
「へっ?!」
「いやぁもう、そりゃふか〜〜くあつ〜〜い仲なのですのだv
昨日も翼宿が可愛くて・・・」

楽しそうに女主人に語る井宿。
しかし、翼宿にはもちろん耐えられる物ではなくて・・・

「あぁ〜もうそれ以上言うな〜〜〜!!!!!」

と叫ぶなり、駆け出してしまった。

「あっ翼宿、待つのだ〜!!!」

井宿も翼宿を追いかけて駆け出した。

しかし、翼宿の足は相当速く、井宿がおいつくのはかなり困難であった。
ただひたすらに翼宿を見て走っていた。
しかし、今日はいつも以上に人通りも激しく、井宿は人の影から突然出てきた
女性との衝突を避けられなかった。

「あっ!」
「だっ、ごっごめんなさいなのだっ!大丈夫ですのだ??」

手を差し伸べその女性を立たせる。
すっくと女性は立ち上がる。
顔が合う。
20歳に届くかどうか、という位に見え、とても綺麗な女性であった。

井宿は、その美しさに思わず見惚れてしまう。
女性も、井宿の事をじっと見つめていた。

しかし、翼宿という存在を思い出した井宿は女性の手を離すと同時に視線もはずした。
しかし女性はというと・・・

「井宿様、お会いしとうございました〜〜!!」

と叫ぶなり、井宿に抱きついたのだ。





思わず駆け出していた翼宿ではあったが、最初のうちは追いかけてきていた井宿に
追いつかれまいと必死に走っていた。
後ろも見ずに走っていたのは、なんやかんや言って絶対に自分を追いかけてきてくれる
井宿を信頼していたからだ。

ところが・・・・・
今日はなんとなく嫌な予感がした気がして、ふと後ろを振り返ってみた。
そこに、井宿の姿はなくて・・・・・
翼宿は無性に悔しくなって、今度は来た道を駆け戻った。

急いだ。
持てる全ての体力を使って、井宿を追いかけた。
井宿が、いつも自分にしてくれるように、今日は、翼宿が走った・・・



どれ位走っただろうか・・・

井宿が足を止めてから、翼宿は随分走っていたようだ


雑踏の隙間から、かすかに、井宿の水色の髪の毛が見えた。
翼宿は、なんて言って怒ろうか、と考える反面、どこかホッとした。
自分が井宿に捨てられたのかと考えてしまった。

どんどん井宿に迫る。
今日は、いつにも増して人が多く、まだ、井宿の姿を完全に把握できない。

早く井宿の元へ行きたかった。
一生懸命走った。

あと3m、と言う所まで近づいたのに、まだ井宿の事が見えない。
その時、すっと翼宿の前にいた人がどいた。


翼宿の目の前では、そうそうお目にかかれないであろう程の綺麗な女性が、道の真ん中で、
井宿の事をぎゅっと抱きしめていた・・・・・











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  ☆管理人からのコメント☆

ついにこの連載小説の第1話を書き始めることができました^^
3・4ヶ月位前から書きたいな〜と思いネタ帳にメモっていたものです。
でも、そのあとなかなか書く気にならなくなって・・・気づけばこんなに日にちがたっていました(^^;)
ネタ帳に、ホント書き殴る様に書いていたため、改めて読むと暗号解読をしている気分になりました(笑)

今回の連載は・・・長くなりそうですね〜(^^;)
しかも、多分各回の最後は必ず良い所で終わる模様・・・意地悪ですね〜(爆死)
おまけに、第1話はホント触りの部分なのでそうでもありませんが、これからどんどんシリアスな方向に向かってまいります(^^;)
いやぁ、私自身がシリアスだけど、最後はめちゃ甘々ハッピーな話が好きな物でして・・・これもそんな方向になると思います(爆)
凄いですよ〜多分(笑)シリアスっぷりが半端ないと思います・・・
でも、出来ればお付き合いいただけると、本当に嬉しいです^^
しかも、受験期に入りますので、連載UPがかなり遅くなると思いますが(・・;)
最後までは書き上げたいと思っています!!
もう大筋は最後までネタ帳に書き上げていますので!!
まぁ、あとはその大筋から外れないように書き上げるだけです(それが結構大変なのですが(^^;))
まぁ、頑張ります(滝汗)

ではでは、続きをどうぞ楽しみにしていてください☆★