バレたら最後?!



その日、2人に異変が起こっていた・・・・・・・



「なんて事なのだ・・・・・・・オイラたち・・・・・」
「なっ、なんやこれっ・・・・・俺たち・・・・・・・」





「「入れ替わってる〜〜〜〜〜〜!?!?!??!?」」








いつものように2人で熱い1夜を過ごし、翌朝、井宿が目覚めたときであった。

いつもなら、というか、普通であれば、
目の前には最愛の人、翼宿の顔があるわけで
その顔に朝の口付けをしようと思って、目の前の顔を見つめたのだがそこには・・・・・

そこからどう見ても自分の顔で・・・・・
何度瞬きしても、見えるのは自分の顔で・・・・・・・・・・

ひとまず、井宿は何かの間違いかと思い、翼宿を起こしてみた。

翼宿はまだ眠そうな目でこちらを見つめ返した。
その顔は、この不思議な状態は寝ぼけているせいだと思っているらしく、何度も目を擦っている。


でも、ようやく、これが現実なのだとわかったらしく・・・・・・・





叫び声をあげたところで、状況がかわるわけでもなく、2人は元・自分の体を触りあって確認しあった。
しかし、それでもこの状況が変わるわけではなく・・・・・


そのとき、ふと、どこからか声がした。
その声は良く聞いた事のある、宿敵の声





『ふっ、面白い物が見れた。』
「そっ、その声は心宿やな?!もしかして、これは、お前のせいか?!」

どこから聞こえるかもわからない声の主に、翼宿は問い詰めた。

『そうだ。今日、お前たちがこちら側になんらかの動きを示す、と言う情報を入手してな。
 足止めのためにお前たちの中身を入れ替えたのだ。

 昨日、お前たちは城下で肉まんを食べたであろう?』


確かに、昨日2人は城下へ散歩に出かけて、
そこで翼宿が「腹が減った〜!」と言って、近くで売っていた肉まんを買って食べたのだ。

「まさか・・・・・、その肉まんが・・・・・?」
『ふっ、そのまさかだ。
 その薬の効き目は、ある事をしない限り、決してなくならない。』


そのとき、外から多数の足音が聞こえてきた。

きっと、先ほどの2人の叫び声を聞いて、仲間が駆けつけてきたのであろう。



『ふっ、朱雀の者共が来たようだな。この事を言ってみるが良い・・・・・その時は、お前たち2人とも・・・・・・・

 さらばだ・・・・・』
「あ、ちょっ?!待つのだっ!」

しかし、心宿の気配は完璧に消えていた。
と同時に、美朱や七星士が駆け込んできた。

「ちょ〜っと何々〜?!今の叫び声はなんなのよ〜!」
「『入れ替わった』って、どういう事ですか?!」

矢継ぎ早にみなから質問を受ける2人。

「そうなんや〜!!俺たち入れかわっんぐっ!?」
「なんでもないのだっ!翼宿の寝言なのだ〜。みんな朝からすまないのだ。」

と、翼宿の口を塞いでしまって「なんでもない」と答える。

「ちょっと翼宿、あんた、なんで井宿みたいな話し方してるのよ〜」
「えっ、あっ!なっ、なんでもあらへんでっ!はっははっ・・・」
「ふ〜〜ん・・・」

柳宿以外はそこまで気にしていないようであった。

「にしても、お前たちは今日も一緒か・・・・・、ほどほどにしておけよ?
 今日も、七星探しに出ようという話をしていただろ?忘れていた訳ではないんだろ?」
「そっそうなのだっ、あっいや・・・・・・そうなん、や・・・
 それの事なんやけどなっ、その・・・・・今日は、やめとかへん?うん、今日はやめとこうや!」
「何故だ?何かあったのか?」
「んぅっ・・・んんがっうっ・・・・・」

そのとき、井宿の体に入った翼宿が暴れだした。
まだ口が塞がれていて、息をしないでいるのも限界であったのだ。

「えっ、あ!すっ、すまんったす、・・・・・井宿っ!」

ようやく気道が確保されて井宿の体に入った翼宿は精一杯息を吸い込んだ。

「とっとにかく!今日はやめよやっ、なっ!」
「たっ、翼宿がそこまで言うなら・・・・・・・今日はやめておこう。」
「ほっ、星宿様がそう言うんなら・・・仕方ねぇな。」

そう言う事で、みんなぼやきながらも部屋を立ち去った。


ようやく話せるようになった翼宿が、井宿に話しかけた。

「なっ、なんで言わへんかったんや?!軫宿に言えばあるいわっ!!」
「ダメなのだっ!心宿が言ってたのだ?『この事を言ったら2人とも』と・・・。
 あれは多分、『言えばオイラたちの命はない』と言う事なのだ!
 さっき翼宿が言っていたら、オイラたち死んでいたかもしれないのだ!」
「せやったら、これからどうするんやっ!」
「ひとまず、今日は様子を見るのだ。心宿から、また何か言ってくるかもしれないのだ。
 心宿は、『オイラたちの足止め』と言っていたのだ。それが終われば、何か言ってくるかもしれないのだ。
 わかるのだ、翼宿?」

一生懸命井宿は翼宿を説得した。
このことがバレれば、2人の命はないとみて良い。
そしたら、仲間にも迷惑がかかるのだ。
だって、朱雀を呼び出すために集まった、仲間なのだから・・・・・・・・



「わかった。ひとまず、今日はばれないように頑張らなあかんなっ。」
「そう、その口調なのだっ。翼宿、頑張ってオイラの口調を真似するのだ!
 さっきのオイラも危なかったのだ・・・。口調がなんとかなれば、ひとまず、
 今日位はみなに隠すことが出来ると思うのだ。」
「井宿の口調って・・・・・語尾の「なのだ」か?」
「オイラ、そんな口調あったのだ?・・・あっ・・・・・・・」
「ほらなっ。」

あはは〜と翼宿に入った井宿は笑ってみせる。

「翼宿は、関西弁なのだ?」
「あぁそやっ。」
「お互い、今日は頑張るんやでっ!・・・・・こうなのだ?」
「あぁ、そう、なのだ・・・・・、こうやな?」

2人とも、自分の口調を目の前で聞いてると思うと、こんな状態ではあるが、面白くてしょうがなかった。

「んじゃ、今日は頑張るのだ。」
「そうやなっ」



2人は部屋を後にした。










しかし、そうたやすい事ではない事はすぐにわかった・・・・・・・・

口調を真似るだけでも大変だと言うのに、今日に限って、
翼宿にしか出来ない、井宿にしかできない、という仕事が2人に持ってこられることが多かった・・・

そして、その度に2人はなんとか理由をつけて明日以降にまた来てもらうことにしていた。
何人も何人もそうしていて、その度に理由を考え、慣れない口調で話し、
2人は、昼過ぎにはへとへとになっていた・・・・・



「もっ、もう駄目や〜〜」
「オイラも、そろそろ限界、なのだ・・・・・」

2人とも、誰も周りにいないことを良い事に、いつもの口調に戻っている。
しかし、2人共に活力が見出せない。

「どうして、翼宿は、走ったり飛んだり、肉体的な仕事ばかりやっているのだ?」
「ちっ井宿こそ、いっつも、けったいな術使いまくってるんやなっ。ほんまに、困ったでぇ・・・」


翼宿の元へ来た依頼は
・木の上に引っかかった物を取ってください
・ちょっと宮殿の反対側にいる星宿様にお手紙を届けて下さい。
・火がなかなか起きないので、火をつけてほしい
などなど・・・・・・

井宿にはと言えば、
・ちょっとの間、ある人になっていてほしい
・遠くの街に至急届け物をしてほしい


そんな、2人の独特な長所を使った仕事が、今日に限って依頼されてくるのだ。

そして、翼宿に入った井宿がみなに隠れて術で全てを片付けてしまおうとして初めて気づいたのですが・・・・・
どうやら、術が使えなくなっているようなのだ。
それは、翼宿も同じであった。

まぁそもそも、朱雀の力を使って出来る術なのだから、2人の心と体があっていないのだ
使えないのもわからなくはないのだが・・・・・

この疲れている時、仕事解決に術が使えたらどんなに楽であっただろうか・・・・・
何かに当たらずにはいられない・・・・・



「ったく、どないしたらえぇんやっ!んもぅこんな生活いややっ!!
 なんで、足止めするから言うて、俺たちが被害者なんや・・・・・
 倶東のやろう!今度会ったら絶対許さへんでっ!!」
「同感、なのだ・・・・・」
「なぁにが同感だって?」
「うわっ、柳宿か?!」
「驚かせないでほしいのだ、あっ・・・・驚かせんなやっ・・・」


井宿はなんとか翼宿の口調を真似た。
なんとか、柳宿には隠せたようだ。
はっきり言って、柳宿が1番強者だと思う。
最初にばれるなら、柳宿であると断言しても良いだろう・・・


「どっ、どうしたんやっ、柳宿?」
「いやぁ、井宿にようがあるって人が来てるから、探しに来たのよ〜」
「えっ、あっそうだのだっ。
 あっ・・・・・・悪いけど、今日は何も出来ないって、頼んでもらえるのだ?」
「ちょっと井宿、今日どうしたのよ?あんた、ことごとく依頼断ってるでしょ〜?
 何があったのよ?」

勘繰るような目で柳宿が井宿を見つめた。
見透かされたような目で・・・・・・・


「んまっ、良いわっ。そう言っといてあげるっ。
 んじゃっ、後でね。」

そう言って、柳宿は立ち去った。


「は〜心臓が止まるかと思ったやんか〜ったく、柳宿の奴・・・・・」
「柳宿に、ばれないと良いのだ〜」





しかし、去ったと見せかけて、柳宿はまだこの近くにいたのだ。
2人がそれぞれ逆の口調で話しているのを聞いてしまった。

きっといたずらでもしているのだろう、柳宿はそう思った。
理由はわからないが、依頼を断ってまでいたずらを続行するのは、許せない。



「よぉし、みんなの前でばらしてやるっ!待ってなさいよ〜!!」

そう言って柳宿は駆けていった。







夕食の時間になり、2人は食堂に向かった。

食堂での時間が終われば、あとは部屋に篭っていれば誰とも話さなくてもすむ。
ボロが出る可能性も少なくなる。

そう思っていた・・・・・



食堂の入り口で、2人は柳宿に会った。
話さないように、と思って食堂に入ろうとしたのだが、柳宿はそうさせてくれなかった。



「今日の料理はなんでしょうね〜楽しみだわっ、ねっ?翼宿?」
「えっ、あっあぁ・・・そうやなっ・・・」

翼宿の入った井宿は我先にと机についた。
食事を食べ始めようとした。その時・・・


「そういえば翼宿、今日、あんたが飲みたいって言ってたお酒が手に入ったのよ〜どう?一緒に飲まない?」
「えっほんまかっ?!飲む飲む!ほなら、食事の後に柳宿の部屋に行けばえぇんやなっ?」
「・・・・・・・・・・・・・・、井宿?」

みなが、井宿の方を見ていた。
そう、井宿に入った翼宿が、柳宿の言葉に答えてしまったのだ、それも、翼宿本来の口調で・・・・・



「や〜っぱり〜〜、2人とも、今日1日、入れ替わってるでしょ〜?!だから、七星士探しも行けないって・・・・・
 依頼も受けないし、いたずらにも程があるわよ?!」
「「・・・・・・・・・・・・」」

井宿と翼宿は黙り込んだ。
何故かといえば・・・・・

入れ替わった事がばれれば、自分たちの命は・・・・・・・・・・・





「あ〜〜〜〜〜俺ら、もう死ぬんや〜〜!!!」
「オイラたちはもうだめなのだ〜〜〜みんな、オイラたちの分も、これからも頑張ってほしいのだ〜!」

「・・・・・・って?2人とも、いたずら、やめたの??」
「「えっ・・・・・・・・?」」


そういえば・・・・・・2人とも、ピンピンしている。
そして、お互いを見れば、いつものように相手の顔が見られた。



「「・・・・・・戻った?・・・・・・・・・やった〜〜!!!!!!!!!!!!」」

2人は勝手に喜んでいた。
みなは、何がなんだかさっぱりである・・・・・

「しかし、何で戻れたのだ?心宿が言うには、オイラたちの事がばれたら死ぬと・・・・・・」
『ふっ、朱雀どもは相変わらず馬鹿だなっ。』
「心宿?!?」

いきなり、心宿の声が再び聞こえた。

「どういう事やっ!」
『私は、「死ぬ」とは一言も言ってないぞ?
 私は、「この事を言ったらお前たち2人は、元に戻れる、と言おうとしていたのだ・・・』
「「・・・・・・・・はっ・・・・・・・・・?」」
『まぁ、おかげで面白い物が見れたからな。足止めも出来たし、今日はよしとしよう。
 さらばだ・・・・・』

再び心宿の気配が消えた。

一同、唖然とするばかりであった。
井宿と翼宿は心宿の言った事があまりに衝撃的であって。
他のみなは、まったく状況がつかめなくて。















「「こんのぉ・・・・・・・倶東の奴ら〜〜〜〜〜〜覚えとけ〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!!!!」」











  ☆管理人からのコメント☆

キリリク消化!!!
中身入れ替わりネタ、すっごく面白いと思ってリク受けたときは良いな〜って思ってたんだけど・・・・・・・
今更になって考えたら、めっちゃ難産でしたね;;
大変だった〜
んで、あれやこれや考えて、ギャグ調になるな〜って思ってたのに・・・・・
意外に、というか、長すぎるから2人が口調真似るのに苦労するところがほとんど書けなかったから(というか、書くのめんどくて(爆))
ギャグテイスト減ったわ〜(^^;)
しかも、最後は結局2人以外は蚊帳の外のままだしねっ(^^;)
まぁ、最後はちゃんとみんなに説明したと思いますよ?
にしても、やっぱり柳宿は洞察力ありすぎですね(笑)
そして、入れ替わってるところが書くの大変でした・・・・・
だって、普通に「翼宿」とか「井宿」って呼んでも、体の名前か中身の名前か、わからないもんねっ
大変だった・・・・・;;
いやっ、でも久しぶりにギャグ書いた気がするよ〜楽しかったw

にしても、今更思うのですが・・・・・・
心宿って、ここまで自分の手口、さらすっけ・・・??(多分さらさない><)
心宿もキャラ変わっちゃったな〜;;
そして、うちのサイトの心宿はたやすく紅南の宮殿に入り込みすぎ!!(笑)

みずち様!!大変遅くなってすみません><
こんなんで良かったら、もらってやって・・・ください(^^;)