倦怠期に・・・
「はぁ〜」
美朱は先程から部屋でずっとこの調子であった。理由はと言うと・・・?
「はぁ〜。鬼宿の馬鹿・・・。」
そう。
最近この2人は珍しくイチャイチャ(笑)していないのだ。
世間で言う、倦怠期と言うやつだろう。
今朝も、美朱が久し振りに2人で街へ出かけようと誘ったのだが、
「俺、今日柳宿と街行く約束してんだ。わりぃな、美朱。」
そう言うと、足速に行ってしまった。
ここ1週間ほどずっとこの調子なのだ。
他のみんなも、いつもは多少呆れた目を向けたり、邪魔者扱いする。
だが、最近は逆にどこか寂しい気もするのだった。
「これ持ってったら、元気出るやろな〜。あいつ、いつでも食い意地
だけははってるからなっ。」
翼宿は、手に饅頭が山盛り乗った皿を持っていた。
美朱を元気づけようと思ったのである。
コンコン
「あっ、もしかして鬼宿っ?!やった〜、やっと卒業、倦怠期♪」
ノックが聞こえただけなのに、もう思い込んでいる。
「はぁ〜い、今開けるね〜!」
かなりウキウキしながらドアへ近寄った。
ドアを開ける。
「鬼宿〜v」
「美朱〜、めっちゃプリプリでうまうまな饅頭持ってきた、で・・・?」
「えっ・・・?」
訪問者が鬼宿だと思い込んでいた美朱は、鬼宿に抱き付いたつもり
だったのだ。
翼宿はと言うと、咄嗟の事であったし、何より饅頭の乗った皿を
持っているのだから俊敏な動きなどできるはずがない。
つまり・・・?
「みみ、みあか・・・?」
「たっ、たすきぃ〜?!」
美朱が翼宿に抱きついた格好となっていた。
美朱は翼宿をしっかりと抱き締めたまま、放すのも忘れてあたふたしている。
翼宿はと言うと、もう顔から火を吹きそうな位、真っ赤である。
翼宿も鬼宿がいるとは知っていても、美朱を好きな気持ちに未だ変わりは
ないのだから・・・
「はっ、放してくれへんか?」
「えっ、あっごめん・・・。」
やっとの事で美朱が翼宿から離れる。
2人はしばし呆然と立ち尽くしていた。
『美朱っ、意図なしでんな事すんなやっ。俺、まだお前の事・・・。』
やっとの事で言葉が口をついた。
「あっ、そっそや、饅頭持ってきたんやで。美朱の好きなやつやでっ・・・て?」
「ん?」
翼宿が持っていた皿を見ると、そこには何もなかった・・・。
「おまっ・・・いつのまに食うたんやっ?!」
「んっ?今だよ。」
「今だよって!」
「あ〜おいしかった〜。ありがとね、翼宿っ」
「あっ、まっまあな」
美朱ににっこり笑われてはこれ以上聞けるわけがない。
「翼宿は優しいんだねっ。」
「そそそそ、そんな事あらへんがなっ」
もういつ火を吹いてもおかしくはないだろう(笑)
「翼宿を好きになれば良かった・・・。」
「へっ?」
今の一言で顔の熱が冷めた。
その代わり、なにか違う気持ちが込み上げてくる。
「翼宿なら、ず〜っと私の事大事にしてくれたんだろうなぁ。
鬼宿だって優しかったのに、いつのまに・・・?」
翼宿が、いきなり美朱を抱きしめた。
「ちょっ、たすきっ?!」
「知ってるやろ。俺はずっとお前の事好きやったんやで?」
「それは、前の事で・・・」
「そんな事あらへん。俺は、今もこの気持ちはかわらへんのやで。」
「でもっ・・・」
「俺、自分をずっと隠してた。たまもいるし、美朱もたまといる方が
幸せなんやって思ってた。」
抱きしめたまま、翼宿は静かに、しかし、真剣にこう言った。
美朱は、動けずにいた。
「でも、たまは美朱に寂しい思いさせとる。せやったら、俺はもう
この気持ちを隠さん。」
そう言ったとたん、翼宿は美朱を抱え上げ寝台へと運ぶ。
美朱は、なぜか気持ちが揺らいでいた。
そのまま寝台へ下ろされると、その上に翼宿が覆いかぶさる。
「翼宿・・・?」
「たまの事は忘れてまうんや。これからは、俺がずっと美朱のそばにいたる。」
「翼宿・・・・・」
翼宿は口付けた。
とても優しく・・・
美朱は、心では鬼宿がいるのだ、とはわかっているのだが拒む、
という気持ちは生まれてこなかった。
「んっ・・・」
美朱が苦しそうにしているのに気付き、翼宿は唇を放す。
「大丈夫か?」
「うん・・・。」
「抵抗しないんやな・・・。良いんか?」
「そっちから来たのに、変なのっ。
でも、良いの。私は、翼宿に抱いてもらいたいの」
「美朱・・・」
もう翼宿を止めるものは何もなかった。
早速服を脱ぎ、美朱の上の衣服を脱がせていく。
美朱の艶のある白い綺麗な肌が、胸が露わになる。
「翼宿は手が速いんだねw
鬼宿は焦らす位にゆっくりだったのに・・・」
「たまの事はもう言うなや。もう言わせないで・・・」
そういうとまた口付けによって塞いだ。
今度の口付けは、だんだんと激しくなっていった。
美朱から全ての愛を貪り取っていくかのようだ。
その間に、胸に愛撫でを加える。
美朱の背が仰け反る。
これでもか、と撫で回した後、翼宿の手は下の服に伸びていく。
一瞬美朱の体がビクッとした。
翼宿は唇をもう1度放す。
「どないしたんか?」
「ううん、ちょっと驚いただけ・・・。」
「俺じゃ嫌なんか?」
「そんな事ないって!」
「さよか。そんなら・・・」
翼宿は首筋を吸い上げ華を散らした。
そして再び服に手をかける。
ゆっくりだが服が降りていく。
いよいよ下着1枚になる。
美朱は身震いした。
「寒いんか?」
「ちょっとね」
「俺がすぐ熱くしたるで。」
「うわっ、心してかからないとねっ」
「そんな暇与えないでっ」
更に美朱を追い立てていく。
美朱はすでにこの快楽に流されつつあった。
濡れた瞳で翼宿を見つめた。
「そんな目で見んなや。そそられるで・・・」
その言葉に美朱の顔は真っ赤になる。
翼宿の手は、いよいよ下着に手がかかる。
その時・・・?!
「美朱、ちょっと良いか?」
カチャッ
「えっ、ちょっ鬼宿?!今はちょっ・・・」
「えっ、なんだみっ・・・」
鬼宿は見てしまった・・・
「翼宿っ?お前なに、やってるんだよ?」
「えっと、これはつまりその・・・」
「お前はそういう奴だったのか?!美朱を襲うような・・・
許せない・・・!」
「せやから、これはその・・・」
翼宿はもうあたふたするばかり
美朱も言い返す余地がない
「鬼宿、これはその・・・」
「美朱、お前からじゃないよな?!そうだよな?!」
「・・・・・。」
「お前からなのか?」
「・・・そういう事になるのかも・・・」
「っ・・・。俺のせいなのか?俺が、お前にかまってやれなかった
からなのか?」
「・・・・・・」
「そうか・・・。」
美朱からの答えはなかったが、質問の答えはわかりきっていた。
「たま、美朱は悪くないんや。俺のせいなんや・・・」
「・・・、もう良い。出てってくれ・・・」
「あぁ・・・」
翼宿は静かに出て行った。
次の日の朝
「あれぇ〜、やっとあの2人倦怠期を抜け出したのね〜」
柳宿は2人が倦怠期だった時の分を取り戻すようにイチャついている(笑)
のを遠くから見たのだ。
翼宿も、柳宿とは違う所から2人を見ていた。
「けっ、昨日までの事がなかったみたいに仲良うしとる。俺はえらい目に
あったっちゅうんに。
・・・、でも、美朱、幸せそうや・・・」
苛立ちながらも、何故か2人を憎む事ができず、むしろ喜びも感じていた。
「美朱、幸せにならなあかんで・・・」
当の美朱はというと・・・
『翼宿にはすっごく悪かったけど、鬼宿との倦怠期も脱出できて
よかったっ。今度お礼しないとね。
それで、またもし倦怠期になったら手伝ってもらおっと♪』
☆管理人からのコメント☆
初GETののりちゃんへ、この小説を捧げます!
やっと出来ました、翼×美!
随分かかってしまいました(^^;)
やっぱ初書きは駄目っすね・・・
にしても、のりちゃんのリクに全然沿えなかった気が・・・
翼×美で翼宿が襲いまくり、のはずがそうなってないし(−−;)
私にはやっぱ翼宿受けが性に合っているようで(^^;)
最後はやっぱ翼宿が損してますしね
ホント長い間お待たせしたのにこんな小説ですみませんっ
こんなんで良ければ持って帰っちゃってくださいなw