ツリーに明かりを灯しましょ?

テーブルの上には腕を振るったディナー

ツリーの下にはプレゼント達    さぁ、パーティーの始まり




ずっと・・・





明日は現実世界でのクリスマス。それは恋人達にとっては大きなイベント。
宮殿でもクリスマスパーティーをする事になり、と美朱は二人でプレゼントの相談をしていた。
お茶を飲みながら、二人は楽しそうに予定を立てていく。
同時刻、宮廷では魏を中心に飾りつけの準備が進められていた。


「プレゼント、何作ろっか?」


                    「丁度もみの木あんじゃん!コレにしよーぜ!!」


「手作りだったら…形に残るものがいいよね」


                    「コレは枝に引っ掛ければいいのだ?」


「手作りで…形に残るもの……。手編みとかする?」


                    「この星型のはどないしたらええん?」


「う゛…。、教えてくれる?」


                    「それは木の一番上に…。柳宿ー!あの飾りの山持ってきてくれ!」


「りょーかい♪でも私の教え方は厳しいぞー?」










        ■ □ ■ □ ■










Sleigh bells ring, are you listening,

in the lane, snow is glistening

A beautiful sight,

we're happy tonight,

walking in a winter wonderland.



は大好きなクリスマスソングを次から次へと歌っていく。
美朱に一通り編み方を教え、自分も作り始めた。赤い毛糸を丁寧に編んでいく。
の横では美朱が編み針と格闘中。窓の外に目をやると、夕日が沈んでいくのが見える。
美朱…この調子で終わるかなぁ?


「明日の夜までに終わるかなぁ…」


思っていた事が同じで、は思わず笑ってしまう。
自分のも終わるかなぁ…と少し不安になって、視線を手元に戻した。
編みかけのマフラーの先、床で赤い毛糸の玉がころころと動いている。
好きな人の為に、何かを作るのは幸せな事だよなぁ…。私は今きっと凄くシアワセ。






           きっと、似合う

           赤いマフラーはあのオレンジ色の綺麗な髪に

           絶対 似合う







恋人にマフラーを上げるのは初めて。
編んだ事はあるけど…上手く編めなかったらどうしよう。
それでもちゃんと貰ってくれるかしら?シアワセだけど、少し、不安

その夜は飾り付けられた、ツリーを見る訳でもなく。
魏と翼宿にバレないように、部屋でこつこつマフラーを編み進めていた。





と美朱は裏庭出たらあかんで!」


ツリーのある裏庭に続く廊下で、両手を広げて翼宿が言う。
は、はいはい、と笑いながら答えた。翼宿の歳の割りに幼い動作が可愛い。
言ったら怒るから絶対言わないけど。










        ■ □ ■ □ ■










翌日の夕方。
それぞれ別の部屋で作業をしていた一行は大広間に集まった。
大広間には魏達の手によって綺麗に飾りつけがされていた。
昨日の夜から今日にかけて作ったマフラー。心配されていた美朱のマフラーもの手を借りてなんとか完成した。
夕食は定番のクリスマスメニュー。食後にはブッシュ・ド・ノエル。


「「「Merry Christmas!!」」」


・美朱・魏の三人が一気にクラッカーの紐を引いた。
パーンと景気のいい音を立てて、中から色とりどりの飾りが飛び出してくる。
初めて見るクラッカーを見て驚く翼宿達。夕食や、シャンパン等翼宿達にとっては驚く事がいっぱいだ。


が作ったの、おいひぃ〜」

「そんな急いで食べなくても…」

「う゛っ!?」

「〜〜美朱!?」


そんなハプニングがありながらも、パーティーは順調に進んでいく。
料理を食べて、お酒を飲んで、歌って、騒いで…。一頻り騒いだ後、皆で裏庭のツリーを見に行った。











「すごーい!」


綺麗に飾られたツリーに胸が高鳴る。
クリスマスは大好きv わくわくするし、ドキドキする。
翼宿達が飾ってくれたもみの木はとても綺麗。でも…何かが物足りない。
自分の家のツリーと思い比べてみると、それが何か直ぐに分かった。


「何か、足りないと思わない?」

「ん?」


手のひらを上向きに開く。紅い光が集まりだして、一つの形になる。
戦闘の時は剣になるそれは、細長い杖になった。が魔法を使う時に使用する、魔法使いの杖に。
何をしようとしているのかと皆の視線がに集まる。にこっと微笑みかけると杖をゆっくりとツリーに向けた。


「私からの…」


クリスマスプレゼント!!と言いながら杖をツリーに向かって振る。
すると、一つ、また一つとツリーに明かりが灯り始めた。赤、青、黄色、緑…。
交互に輝くそれは現実世界で言う電飾の様な役割を果たしていた。
でも、ツリーは現実世界のどんな素敵なそれよりも、美しく見える。


「…すごい、綺麗…」

「ハロウィーンの時と同じ、今日だけの魔法だからねv」


明日になればツリーの灯りは消える。
もみの木は元の姿に戻るし、広間の飾りつけも。クリスマスの飾りつけは消えても、心に残る。
今日の、皆で祝ったクリスマスは…――










柳宿の計らいにより皆が広間に戻った。
柳宿は達がマフラーを編んでいたのを知っていたから。
美朱は後で渡すと広間にそれを持ってきていなかったが、は一応持って来ていた。
色とりどりの灯りが輝くツリーの前、そこにはと翼宿だけが残った。


「…あのね、これ…。クリスマスプレゼント」


は翼宿に緑の袋を渡した。
袋にはもう一つのクリスマスカラーである赤いりぼんが掛かっている。
驚いた様な翼宿に、にこっと微笑んだ。


「開けても、えぇ?」

「どうぞv」


ゆっくりと袋からマフラーを取り出す。
丁寧に編み上げられたそれは、売っている物と変わらない様にも見える。


「それ、マフラーなんだけど…」


貸して、と翼宿の手からマフラーを受け取り、そっと首にかけた。
軽く整えて、数歩下がる。少し離れた所から見てみてよしっ!とマフラーの出来を確認した。
やっぱり似合う。赤いマフラー。


「寒くなってきたでしょ?風邪引かないようにv」

「…おおきに。でも、俺何も用意してへんねんけど…」

「ううん!気にしないで!」


こうやって一緒に居れる事が何よりのプレゼントだから。














「……何か歌ってや。クリスマスの曲」


思いもよらない台詞に、は少し考え込んで…。


「じゃー私が一番好きな曲!!white Christmasっていうヤツv」

「ほわいと くりすます?」

「雪が降ってるクリスマスの事をそう言うの!」


そう言うと、タタッとツリーの下に走っていく。
翼宿の方を振り返って、優しく微笑むとは歌いだした。





I'm dreaming of a white Christmas

Just like the ones I used to know

Where the treetops glisten and children listen

To hear sleigh bells in the snow




翼宿がの方へ歩きながら、ふっと空を見ると、顔に冷たい感触を感じた。
雨か…?と思いながら空をまじまじと見つめる。
真っ暗な空から、一つ、また一つと白いものが振ってくる。


「雪や…。、力使ったん?」

「ううん、使ってないよ。紅南って滅多に雪降らないんでしょ?凄いねvv」

「……そうやな」


隣に居るの肩を抱き寄せた。
再びの口から歌声が聞こえてきた。先程の続き。
歌い終わると、どちらからともなく唇を重ねた。いつもより少し長い、甘い口付けを。


「今度俺にも教えてくれへん?」

「?…いいけど、なんで?」


不思議そうに翼宿の目を見る
翼宿はコツンと自分の額をの額にくっつけた。


「……来年はさ、一緒に歌おうや」














その次も、その次も…。一緒に歌おうや


この未来さき  ずっと・・・











  ☆管理人からのコメント☆

夏海様のサイトで配っていたクリスマスフリー夢小説w
素敵ですよね〜vv
というか、夢主と翼宿がキスしてますよ〜!!!!!
驚きです(>▽<)
良いな〜〜〜(笑)



※HP用に多少加工いたしました。
 尚内容はまったく変わりありません!