貴方の生まれた日は

世界中の女の子が大好きな人に気持ちを告げる

とても、とても、素敵な日――





トモダチ以上 コイビト未満






この学校にはアイドルが居る。
実際TVに出たりする人じゃなくて・・・校内の女子の人気を一身に集める人。
それは三年生の女宿先輩。彼のファンは熱狂的でファンクラブ等もある。
その女宿先輩と同じくらい人気のある人が、此処にも一人。

「虚宿!」

女宿先輩と同じ三年。
あまり騒がれたりするのが好きじゃない人なので、ファンのタイプも女宿先輩とは全く違う。
普段出来るだけ騒がないようにして、バレンタインの時のみチョコを渡す女の子が大勢。
明るい彼のことを好きなのは大人しい子が多い。その子達から見ればきっとあたしは敵。

!!」

あたしの居る位置は揺るがない。
友達でも恋人でもない、微妙な位置。幼馴染という、あたしだけの場所。
子供の頃の延長か、学年が違うのに名前で呼ぶ事を許されている。
今でもほら、あたしの所に走ってきてくれる。
変わることは無い、でも特別に意識しづらい。幼馴染と言う不思議な位置。
友達より大切で、でも恋人には届かなくて・・・。トモダチ以上コイビト未満、そんな関係。









        ■ □ ■ □ ■









「見て!虚宿先輩が弓道してる!!」


は入学時に虚宿に誘われ、弓道部のマネージャーになった。
だからこんな光景も慣れっこ、・・・のはず。
でも今日は違う。その子達がバレンタインの話をしているのが聞こえたから。

誕生日なんだよなぁ・・・バレンタイン。

そう思いながら、は溜息をついた。
告白すればいいじゃない?友達の言葉が頭を過ぎる。
ふられたら、もう戻れない。虚宿の隣で今までどおり笑っている事など・・・出来ない。


「・・・?」


朝練を終えた虚宿が、の顔を覗き込む。
若干慌てながらも、心配をかけない様に大丈夫と言って微笑んだ。
今の関係が、壊れてしまう事が・・・何より怖い。








このまま告白もしないで友達のままか
告白してフラれて関係がギクシャクするか  それとも、もしかしたら・・・・・?
・・・あたしは、どうしたらいいんだろう…?

授業中、そんな事を考えながら窓の外を見ていた。
の席は窓際の後ろから二番目。席はくじで決めたのだが、運良く其処は虚宿の前の席。
はぁ、っと大きく溜息をついた。授業なんて聞いているようで聞いていない。
バレンタインは告白するきっかけ・・・のはず。それでこんなに悩んでしまうんだから、
そんなきっかけ無い方が・・・。
とんとん、と左肩を叩かれは振り返った。目の前を小さな紙飛行機が飛んでいく。虚宿だ。

『元気ねーけど どした?
 なんかあったらオレ聞くからさ、遠慮せずに話せよ!』

心配してくれているのが嬉しくて、はそっと振り返る。
目が合うと虚宿が微笑みかけてくれた。自然に自分の顔も緩む。
黒板に視線を戻すと、は一気に脱力した。この関係が、壊れてしまったら・・・と。


言える訳無いじゃん・・・。
・・・でも、告白しないと一生このままだよ・・・??

はそっと自分に問いかけた。
この幼馴染という関係は、告白が駄目だったからと言って崩れてしまうもの?
そんなに弱い絆じゃないでしょ・・・?
告白なんて一度きり。一度の勇気が、虚宿に届くかもしれない・・・。
よし!!告白しようっっ!!!


、どーした?」


立ち上がりガッツポーズをしているを見て、担任は驚きながらも声を掛ける。
本人はしまった、と言う変わりに頬を赤く染めた。寝ぼけてましたー!と笑って誤魔化してみる。
クラスメートがそれに笑う中、虚宿だけはの様子がおかしいのを感じていた。





放課後。
テストが近い為、弓道部の練習は無かった。
お菓子を作るのなんて慣れていない。
本を見て作るのも・・・料理教室にでも行こうかな?
あ、と何かを思い出したようにはくるっと方向転換し、走り出した。






「雄飛!!」

向かった先は従兄弟の家。
従兄弟と言っても家が近い為兄妹のように育ってきた。
料理の上手い人、と言って一番に思い浮かんだのが彼・梧 雄飛だった。
それからチョコを作り告白するという事を告げると、彼は自分の事のように喜んでくれた。
バレンタインまで後二日。それまでに美味いチョコを作れるようにしてやる、と。









        ■ □ ■ □ ■









バレンタイン当日。
今のところ虚宿は誰からもチョコを受け取っていない。
は内心ヒヤヒヤしながら、虚宿を見ていた。勿論、かばんの中にはチョコが。
その日は授業どころじゃなく、チョコの事ばかりが頭から離れなかった。
放課後、いつ渡そうかと思っていると、虚宿に一緒に帰ろうと誘われた。

他愛も無い会話をしながら家に向かう。
その途中、虚宿が小さな公園の前で立ち止まった。


「此処昔よく一緒に遊んでたよな」


言うなら、此処で―
は心の中でそんな声が聞こえたような気がした。
一緒に遊んだ沢山の思い出が詰まったこの場所で・・・


「…あのさ、虚宿」


全テノ音ガ止ンダ気ガシタ。


「誕生日おめでとう・・・それと、コレ・・・。あたしは、虚宿が・・・好きです・・・」


返事が返ってくるまでの時間が・・・長く、長く感じた。
は虚宿の顔が見れず、風に揺れるブランコを見つめていた。
ダメだったら・・・この関係は崩れてしまうけど・・・・・自分の想いを、伝えたかった・・・・・。
ダメでも悔いは無い、と。


「・・・・・子供の頃さ、その・・・大人になったら結婚して欲しいって言ったの・・・覚えてるか?」

「・・・え?」

「・・・あれ、今でも変わってねぇから」


虚宿の方を見ると、自分以上に顔が赤かった。
照れ臭そうに、俺は子供の頃からが好きだから・・・と言う。
嬉しくて、嬉しくて・・・の目からは涙が溢れた。


「あたしだってねぇ・・・小さい頃は好きって言ってたもんっ!!!!」


ただ…成長するにつれてその言葉が言えなくなっただけ。
想いは何年経っても変わる事は無かった。
何も変わらないように見えた二人だったが、公園から家まで、しっかりと手を繋いでいた。
幸せそうに、笑いながら。








こうして

トモダチ以上 コイビト未満というもどかしい関係は

幕を閉じたのです―――











  ☆管理人からのコメント☆

夏海ちゃんがサイトで配ってた全員FDLOK小説〜★☆
やっぱ、お相手は・・・・・??!!
14日誕生日の虚宿です〜!!!!!!!
虚宿〜可愛い〜&カッコイイ〜!!!!!!!(≧▽≦)
やっぱり虚宿が現代にいたら、弓道部ですよね〜w
そして、練習の時はもちろん、試合になると命中率100%になっちゃうんです〜☆
何で試合では強いかって言うと・・・・・
「試合中はただただ亜紀のハートを狙うことだけ考えてるからな///」
なんて〜きゃ〜(>▽<)
妄想街道まっしぐらの亜紀でした〜(*^^*)(爆死)
・・・さてさて、にしても、夢主の告白への答えが小さい頃の約束を守ってるから、なんて〜!!!!
可愛いですよね〜(≧▽≦)
虚宿大好き〜vvvvvvvvvv
そして〜〜〜〜!!!
そんな小説を書いちゃった夏海ちゃん!!
大好きだよ〜vvv(迷惑だしね(・・;))



※HP用に多少加工いたしました。
 尚内容はまったく変わりありません!