翼宿へのプレゼント
「2人で出掛けないか?」
昼食を終えて、自分の部屋で横になっていた翼宿に、鬼宿が言った。
翼宿は面倒くさそうに答えた。
「出かけるって、何処に行くんや?あんまり遠くには行きたないで?」
「そんなに遠くまで行かねーって!たまには付き合えよ」
半ば強引に鬼宿に連れ出された翼宿。
鬼宿は確かに近くの街で買い物をしたのだが…
今日は何故か一つ選ぶのに時間を掛けている。
「なぁ、鬼宿。今日はなんでそんなに真剣なんや?はよせんと、日が暮れてまうで?」
「あー、もうすぐ終わるから待ってくれよ。後で酒おごるからさ!」
「ホンマやな?今の言葉、絶対忘れへんで!」
とりあえず翼宿の機嫌をとった鬼宿。
また真剣に品物を選び始めた。
すっかり日が暮れた頃、やっと鬼宿の買い物が終わった。
約束通り、2人は酒場へ向かった。
酒場に着くと、翼宿は店員にこう問いかけた。
「この店で一番強い酒ってどれや?」
「はい、こちらになります」
店員が持ってきたグラスの中には、真っ赤な液体が入っていた。
原料はなんなのだろう・・・?
そんなことより…翼宿が飲むと吸血鬼に見えてしかたない。
「ん?たま、どうしたんや?」
「あ、いや…店員さん、俺にもコイツと同じの下さい」
吸血鬼か…
まさに翼宿にピッタリだな…
八重歯なんか、思いっきり吸血鬼っぽいし…
そんな事を考えながら、鬼宿は知らず知らずのうちに翼宿の方を見つめていた。
鬼宿のその行動は、翼宿の目にまるで誘っているかのように映っていた。
「翼宿…そろそろ帰らないか?あんまり遅くなるとみんなも心配するだろうし…」
「あ…あぁ、そうやな。ほな、勘定済ませて帰ろか」
ついあの目に見惚れてしまっていた翼宿。
一瞬反応が遅れてしまった。
そんな翼宿を心配そうな目で見つめる鬼宿。
酔ってしまったのかと心配しているようだ。
月夜が綺麗な帰り道、翼宿は鬼宿に問いかけた。
「なぁ、今日何を買ったんや?えらい真剣に選んどったけど・・・」
「あー、これか。みんなに日頃の感謝の気持ちを込めて、プレゼントを買ってたんだよ。
勿論翼宿の分も用意してあるからな!」
「たま…お前…」
「そんな泣きそうな顔すんなよ。翼宿らしくないだろ?翼宿へのプレゼントは今渡した方がいいみたいだな」
そう言うと、鬼宿は翼宿に優しく口付けをした。
☆管理人からのコメント☆
朱姫様からキリリク小説をいただきました〜vvv
鬼宿がなんか可愛らしく感じます〜(*^^*)
翼宿も、こんなに大事に思われちゃって〜
羨ましいなぁ〜(笑)
朱姫様〜本当にありがとうございました〜(>▽<)
※HP用に多少加工いたしました。
尚内容はまったく変わりありません!