誰かを守る為に

人は誰でも必死になる


それが大事な人なら尚更…



――― 例え 己の命を掛けたとしても……





守りたいもの    200HIT 『翼宿、命をかけて…。』








「……翼宿。やっぱりあの道右だったんじゃない?」


「………。」




攻児に使いを頼まれ、隣町まで行った帰り道。
と翼宿が居るのは全く知らない土地。
もうすっかり日も暮れてしまっている。



周りを木々に囲まれたこの場所で、下手に動いては迷ってしまう。
だが、このまま此処に居ても始まらない。


「どないしよ…。完璧に迷ってもうた……。」

「攻児達心配してるよね。」

「もう日も暮れて来よったし…。今夜は此処で野宿するしかあらへんな。」



その言葉には疑わしげな目で翼宿を見た。
視線の意味を理解したのか、慌てて翼宿が口を開いた。



「べ、別に変な意味やあらへんからな!?」

「どうだか。」

「〜〜〜〜お前なぁ…。」

「冗談だよっ♪」



楽しい時間はあっと言う間に過ぎていった。

月が真上に昇り二人を照らしている。
鳥の鳴き声も静まり、辺りに静寂が訪れる。





その静寂を打ち破ったのは、何かが二人に近づく音。
木々の間をガサガサと音を立てながら此方へ向かってくる。
しかもその音は一つではない。

複数…
それもかなり多い。




を庇う様に背中へ隠し、翼宿は鉄扇を構えた。
次の瞬間、二人の耳に届いたのは低く枯れた醜い声。



『人間だ。 …女も居るぞ』

『久々の人間だ。飯だ』

『此処に来る人間なんて中々居ねぇからな』

『逃がさねぇ様にしろよ』



翼宿と違って戦闘の術を知らない
身近に迫る恐怖に身を固めた。震える指で翼宿のコートの端を掴む。





姿を現した敵は予想もしない数で…。
見る限りでは20。いや、それよりもっと多い。
『餌だ』『飯だ』そう言いながら二人に近づく妖怪達。




っ!俺から離れるんやないで!!」




その言葉と共に鉄扇を振りかざす翼宿。




「烈火神焔っ!!!!」




呪文と共に現れた炎に数匹の妖怪が塵と化す。
仲間を殺された事により、妖怪達も黙ってはいない。
次々と翼宿に向かって襲い掛かる敵を確実に倒していく。






後3匹。
手前から向かって来る二匹の敵を倒す。
最後の一匹は後ろ。の方へと…。
翼宿がそれに気付き、体を反転させる。


しかし、翼宿の方が一歩遅かった。



   ザ  ク  ッ   。




「翼宿っ!!!」


鈍い音と共にの視界から翼宿が消える。
崩れ落ちていく際、翼宿は力の限り鉄扇を振った。



「っ!…れっか……神焔っ!!!」



最後の一匹が塵となった。
翼宿は腹部から血を流している。出血が多く、顔が青白い。




「翼宿!」

…怪我しとらへんか?」

「私は大丈夫。翼宿こそ血がっ!!」

「…が怪我しとらんならええわ。」



そう言うと翼宿の目が閉じた。
顔から血の気が失せ、額に冷や汗が浮かんでいる。


嘘………?


「翼宿っ!翼宿っ!? 
誰かっ、誰か来てーーーー!!!」






         ■ □ ■ □ ■ □



あれから二日。
あの後翼宿とは、二人を探しに来た至t山の山賊達によって発見された。
処置も早く、翼宿は一命を取り留めた。
しかし、二日経った今でも意識は戻らぬまま。




翼宿が目覚めたら 言いたい事は沢山ある。
  
『これからは無茶しないで』とか『心配してたんだから。』とか…。
  
それに   『助けてくれてありがとう』





「…………?」


ふいに翼宿の声が聞こえた。


「何やってるん?」



何やってるって…。

自分そんな怪我してるのに呑気なんだから。





部屋の前を通りかかった攻児は、二人の明るい笑い声を聞いた―――











  ☆管理人からのコメント☆

夏海様のサイトで200HITを踏ませていただき、リクして書いて
いただいた作品です。
頂き物としては、初の夢小説〜!!!
翼宿の相手が私だなんてっ
もう幸せ絶頂です〜vv
リク内容は、
「翼宿とのラブラブな話で、翼宿に命を助けられちゃう」
とかなり注文を付けさせて頂いたのですが、こんなに素敵な小説に
なって返ってくるなんてっ!
もう感動、としか言いようがありません(*_*)
本当にありがとうございました!!



※HP用に多少加工いたしました。
 尚内容はまったく変わりありません!