春の甘い香りと共に去り行く日を間近に迫り、
あなたへの思いを心に秘めて10年の月日が流れる。




これからも二人でいたいから。




ーーっっ!!!」
「何よ、お母さん。」



ちょっとめんどくさそうに返事し、
部屋から階段をバタバタと降りて居間へと出てきた





「あなた知ってた?お隣の俊ちゃん、難関の紅南医科大学に合格したんですって。」
「そうなんだ、凄いね。」
「そういうは進路もまともに決まってないし、
 何よこれ、塾の模擬テストの結果はっっ!!」
「…;」




は苦笑いで誤魔化すと、再び自室へと戻る。
勉強しろ!勉強しろってガミガミ言われる。
そんなの、いつものこと…
階段の一段一段、上る足が重く…
塾も行って勉強した。
どうしても…成績があがらない。
やってもやっても怒られる。
でもそれだけじゃない…


ずっとずっと傍で見てきた。
家が隣で親同士が友達で…幼馴染だった。
いつも元気でいつ勉強してるんだ?ってくらい遊んでわんぱくな俊宇が難関の国立、紅南医科大学に合格。



幼馴染として喜んであげなくちゃいけないのに…
喜べない自分がいる。





『はは、国立…私、無理だよ。大学も…なんて無謀だったのかなぁ。』




小学校、中学校、頑張って高校も…
一緒に行った。




タダ、私ハアナタの傍ニイタクテ。



急に俊宇が一次試験で国立の紅南国を受けるって言い出して受かるなんて…







、おるかー!」



聞きなれた声、有一家族以外で彼だけがインターホンを鳴らさず玄関のドアを開ける。



「もー俊宇、インターホン忘れてるってば;」



と言いながら、重い足が何故か少し軽くなったようだった。
二階へ上がろうとしていたは彼の声に反応し階段をUターンし降りる。




「ええやんけ、俺らそないな気にする関係やあらんやん。」
「相変わらずだね。」
「なにがや?」
「そうだ、紅南医科大学に受かったんだってね、おめでとう♪」



がそういうと俊宇は



「そのことやねんけど…」
「ん?」
「オレ、少しだけやけど、カテキョしたるわ!」
「俊宇がっ?」
「…? も紅南医科大学受けるやろ?」
「え…;」
「二次で受ければええやん、時間あらへんで!」
「あ、う…ん。」




私の心の中を見透かされてるようだった…
やっぱり一緒にいたい。










コノ幼馴染ノ関係ハ、近イヨウデ遠イ。











それから試験の前日まで俊宇は、
家庭教師なんてキャラじゃないのに、必死に教えてくれた。

これも俊宇と二人っきりになれて幸せな時間。
耳元でささやく関西弁の俊宇の声。
でも、なかなか思うように勉強ははかどらない。





「ダメだよ、できない。やっぱり私に国立なんて…医科なんて無理だったんだよ。」
…」
「俊宇は受かったからいいんだよ!だからそんなこと言えるのよ。」
「アホ言うなや!…はできるて。」
「私、本当は行きたくないもん。医科大なんて。」





本当ハ、言イタクナイ、言ウツモリジャナイノニ…
止マラナイ、口ガ勝手ニ動ク…


言いたくない言葉も何故か出てくる。
それは焦りなのかもしれない。






「あかん、は紅南医科大学…オレと一緒のとこ、行かな…。」



は俊宇の胸をポカポカと叩く。




「どうして?どうして、そんなに…私はただのおさな…」





俊宇は自分の胸に焦りと動揺、不安な気持ちでいっぱいなを優しく抱きしめる。




のことはよー見てきてるから分かんねや!」
「…っ…!」


、合格してくれや…お前に伝えたいこと山ほどあんねん。」












それからというもの、は時間がある限り必死に勉強した。
俊宇の“山ほどある伝えたいこと”を知りたくて。











☆ ★ ☆ ★











試験結果発表。

俊宇とは二人での受験番号を探した…
しかし、は不安で結果発表の番号を見ようとしない。



、顔あげぇ!お前が落ちるわけないやろ?」



俊宇はの肩をポンッと叩く。
は顔を上げて合格発表の掲示板を見た。





「30215…40627…40706…っっ!!!!」




は思わず自分の手の中にある受験票を見る。




「俊宇、あった、あったよー!!!! 40923!!!!!」





は俊宇に抱きつき、喜ぶ。
俊宇もまた…よう頑張ったやんけ!と言いながらの頭をくしゃっとした。


そのときの俊宇の笑顔は格別に可愛らしかった。
やっぱり自分はずっとこの人のことが好きなんだ…と深く実感する





「やっと言えるで、。ずっと伝えたかったこと…」

、約束を覚えてとるかー?まだ小学のガキやった頃やけど。」
「え?…約束?」
、看護婦さんになりたいってゆーてたやん。
 が看護婦になるんやったら医者になったるって。」
「それで…医科大に?」






今年は暖かい。
桜が少し早めに咲き始めている。
まだ、4分咲きってところだろうか…





大きな風が吹いた。



「せや♪ 医者と看護婦の恋愛も悪〜ないと思わん?」
「俊…それって///」



「オレ、ガキの頃からずっと…のこと、好きやったんやで?」
「俊宇…私もずっとずっと好きだったよ。」





二人は手を繋ぎ合格発表の掲示板を背にした。
その手はしっかりと指と指が絡み合うようにしっかりと握られ…














その風は二人のこれから大きく羽ばたく二人の背中をそっと押すように。

















これからは幼馴染の二人じゃなくて、恋人の二人で一緒にいようねv










  ☆管理人からのコメント☆

うひゃ〜翼宿が医者に〜(>▽<)
もう幸せなシュチュエーション〜〜〜vvvvvvv
しかも、夢主は将来の看護士〜w
しかも、翼宿にお勉強教わってるよ〜(≧▽≦)
良いな、良いな〜〜!!!!!!!!!!
羨ましすぎる〜(≧▽≦)
緋桃ちゃん、いつも私の心にクリーンヒットさえてくれるネタをありがとう〜(*^^*)
もう大好きだよ〜vvvvv