彼は絶対にこの日は私と一緒に過ごさない。
他の女の子たちと一緒に過ごす。
この日は…一緒にいたいんだけどな。
彼と私の距離
「えっと、今日は10チャンネル!! ミューシックステーション!!!!」
ドタバタ
ガサガサガサ… ポチッ
「「めっちゃハジけて、ガッツとばして〜♪」」
はテレビを見て、床に座り込みクッションをしがみ持つ。
「あ〜ぁ、またテレビの中にいるよ。」
こんなのいつものこと。
家は1LDK。
リビングで一人テレビを見ながらつぶやく。
3年前、桜が舞う中を生涯を共にすることを誓い
教会の出口でマリッジリングが光る左手からブーケが空高く浮き…
二人は夫婦となったのだ。
そして今年。
ついに俊宇がリーダーを務めるTHTCというバンドがオリコンチャート1位。
俊宇は忙しさのばかり家には帰ってこない日もある。
まして去年からはじまった…
4月18日は俊宇の誕生日ということで
“418人限定、翼宿オンリーライブ”を、今年もやることになっていた。
THTCが1位になったということで、
ミューシックステーションに出演依頼されたTHTCをはテレビで見ていた。
「去年もじゃない。こんな大切な日なのに…俊宇のバカ。」
「旦那が他の女の子にちやほやされて嬉しい奥さんはいないよ…」
持っていたクッションを強く握り締める。
番組が終わり、一時間が経過した。
すると… ガチャ
「帰ったで!!」
俊宇が家に帰って、靴を脱ぎながら疲れたようないい口調で言った。
「お帰りなさい。ご飯できてるよ!」
と、優しく出迎える。
それに答えるように俊宇は、を優しく包み込むように抱きしめる。
俊宇の腕の中にいるの肩に、俊宇は顔を乗せ、そっとつぶやく。
「真っ先に帰ってきたで、。」
そのまま俊宇の唇がの頬に触れる。
少し、抱きしめてる腕がぎゅっと強くなった気がした。
仕事から帰ってきた俊宇と二人で椅子に座り、一緒にご飯を食べる。
これはかかさない日課。
「なぁ、…4月18日やねんけど、今年も…」
「うん、知ってるよ。オンリーライブでしょ。」
「せや。…そやから…。」
「いいよ、次の日で!! 結婚記念日と誕生日だけど…その話しはいいよ、振り替え!ご飯!!」
は俊宇の話しをまともに聞こうとしないで先走る。
そそくさとはご飯を食べると、
「俊宇、ごめん…ちょっと出かけてくる。」
「何や…。こんな時間にどこ行くんや?」
「ちょっと買い物!!」
タタタタッ… ガチャ バタン
そのまま時は流れていった…。
☆ ★ ☆ ★ ☆
4月18日。
俊宇の誕生日。
俊宇はライブの準備とかで、朝早くから出かけた。
ライブ開始時刻は20:00からだというのに…
「こんな日なのに、少しでも一緒にいてくれないんだね。」
は悲しくなった。
でも…にはこの前、大行列の中で一生懸命待ち伏せて購入した
“418人限定、翼宿オンリーライブ”のチケット。
何とか418人に選ばれ手に入れたのだ。
「まぁ、女の子に囲まれてる俊宇を見るのはいやだけど…やっぱりファンとして傍で見たいじゃない。」
とびっきりのお気に入りの服で
「、かわええなぁ。よう似合っとんで!」
と、いわれたこの服で。
は俊宇のライブへと出かけた。
☆ ★ ☆ ★ ☆
『418人』
人数の数はとても重要なので誰一人として欠席者はいない。
ライブは無事開催され、ライブもクライマックスとなった。
「418人のみんな、今日、俺の誕生日に集まってくれておおきに!!!」
オンリーということもあり、ずっと一人で会話、コントや歌、ダンス。
何時間もやれば疲れる。
翼宿の額は汗が光に光る。
また、暑いからと衣装も破き、少しみだらにはだけていた。
また滴る汗、鍛え抜かれた筋肉。
その破けた服の隙間から見える翼宿の肌。
418人の女性を魅了していった。
キャーー!!! 翼宿〜〜!! という声は鳴り止むことはない。
418人!?
もその一人。
「やっぱり…俊宇、かっこいい。」
あんな肌を他の女性に見られて少し悔しいが、俊宇が自分の夫だということに誇らしくなる。
「今日はスペシャルゲストを紹介すんで!!」
俊宇はマイクで言った。
今日は翼宿のオンリーライブ。ゲストなんて…おかしい。
俊宇がマイクで語りだすと、さっきまでとうらはらにシーンと静かになった。
「ここの来てくれてるみんな、めっちゃ大切や。
俺らTHTCを応援してくとるみんな、ホンマおおきに!!
今日は俺の誕生日やねんけど…他にもうひとつ大切な日でもあんねん。」
「……今日は… 俺の結婚記念日や。」
「〜〜!!!!来とるんはわかってるんや!! 今、お前の傍に行ったるで!!!」
「え!?」
この、418人の中からを見つけ出そうというのだ。
さらに言えばこのライブは席なんてものは存在しない。
だからがどこにいるかはわからないはず。
また俊宇が客席の中に入るとファンからの攻撃に合うかもしれない。
それを承知で言ってるのか。
は驚きに言葉が出なかった。
「…俊宇?」
俊宇は客席をずらりと見渡すと、見つけたがごとく走り出した。
ファンの間を駆け抜けて…
あの狼のような俊足で。
のところへと一直線に。
「、見つけたで。」
ハァ、ハァ…
と、息を切らして汗がさらに滴り落ちて。
俊宇がに手を差し伸べた。
は言う言葉が見つからず、唾を飲み込み、言われるがままに手を出した。
するとひょいと手を掴まれそのままお姫様だっこ。
こんな大勢のファンの前で…
俊宇はを抱えたままステージに上る。
「こいつが俺の嫁はんや!! 今日が俺ら二人の結婚記念日。」
客席は、しばらくシーンと静まり返ったままだったが
一人…拍手をした。
二人…拍手をした。
だんだんその拍手の音が大きくなっていく…
417人、全員が拍手の音で会場がいっぱいになっていった。
「「翼宿、おめでとーーーーー!!!!!」」
「「翼宿、幸せにねーーー!!!」」
客席から様々聞こえる声。拍手。
二人はステージのライトに照らされ客からの喝采をあびた。
は俊宇の腕の中でささやく。
「ねぇ、俊宇…何で私がここに来てるってわかったの?」
「アホー、勘や…。来そうな予感がしとったんや。
何年つきおーてると思っとるん?
まぁ、一応リスト確認したんやけど…ホンマ来るかは勘や。
この“Love”の文字はお前に言うとるやで?」
「…!!!? ……じゃぁ、何で私がいるとこわかったの?」
「お前はどこにおっても、見つけられる。
この418人の中からたった1人。
何千、何万人おっても…だけ…見つけたる。
俺にとっては1人、…大切な人やさかい。」
「俊宇…。」
「、愛してんで。」
結婚式前に言ってくれた言葉。
はお姫様だっこされてる俊宇の腕の中で少し嬉し涙が出た。
そのままの腕は俊宇の首にまわし、俊宇を抱きしめ…
二人はこのステージの上でライトの光と客の喝采を一身に受けながら
熱く深い口付けを交わした。
「さ、ラストは…『Heartにキラ星咲かしたれ!!』いくで〜〜〜!!!!!」
☆管理人からのコメント☆
翼宿の誕生日に緋桃ちゃんのサイトで配布されていた小説&イラを強奪して来ました!!(爆)
いやぁ、いつもの事ながら、緋桃ちゃんの小説もイラも素敵ですね〜(≧▽≦)
ってか、こんな愛され方したらマジ、幸せですよね!!
翼宿・・・お前男前過ぎるよ!!
あと、418人集めてのライブ、ってのが上手いですよね〜w
こんなネタ、私なんかじゃ到底思いつきませんよ><
やっぱ緋桃ちゃんはすごいなぁ〜
緋桃ちゃん、本当にどうもありがとう!!
※HP用に多少加工いたしました。
尚内容はまったく変わりありません!