ー!明日ハロウィンだよ!ハロウィン!!」

「あー…。コスプレ祭りね」

「……微妙に認識違うと思うよ」




Trick or treat! 〜イタズラってどんなイタズラ?〜




今日は10月31日。
達の世界では、この日をハロウィンと呼んでいる。
元々ハロウィンというのは宗教行事で、収穫を祝い、亡くなった人を尊びしのぶ物だったらしい。
それが後にキリスト教に取り入れられ、今ではクリスマスに次ぐアメリカの祭りに。
最初にこの話になった時、聞いた事の無い話に張宿が目を輝かせたのは言うまでも無い。



平和な午後のひと時。
美朱達とお茶を飲みながら、ハロウィンの打ち合わせ。
膝の上には芒辰が居る。がこの世界に来てから、芒辰はすっかりがお気に入り。
今では彼女の膝は芒辰の指定席になっていて、最近は「大きくなったらと結婚する!」等と言い始めたり。
最近やっと気持ちが通じて恋人同士になった翼宿にとっては面白くないらしい。


「ハロウィンって言うのは…外国のお祭りでね、お化けとかに仮装して色んな家を回るの。
 その時に『Trick or treat!』って言うとお菓子をくれるの!」

「とりっく…?」

「お菓子くれなきゃイタズラしちゃうぞvって意味」


先程一度した説明を芒辰に分かる様に説明する。
お菓子という言葉にますます芒辰の機嫌が良くなった。にこにこと達の話を聞いている。


「かぼちゃのランタン作ろうよ!」

「じゃあ中身使ってお菓子作ろうかv」


話はどんどん進んでいって、一番大事なポイントへ。


「仮装ってどんなんしたらええんやろ?」


と美朱は一度翼宿を見てから、顔を見合わせる。


「「吸血鬼」」


二人とも殆ど即答。
打ち合わせていたかの様に息もぴったりで。
そこから始まって、と美朱は二人だけで盛り上がっていく。


「翼宿の吸血鬼と対にしてさ、井宿は神父ってどう?」

「だ?」

「それいい!じゃあ魏はどうしよ?」

「魏も悪人面だよね…。吸血鬼がいいと思うけど、翼宿と被るよね?魔法使いとかは…?」

「悪人面っ!?」


さり気にヒドイ扱いを受けている魏。





「で、服はどうするの?」

「…任せなさいv」


にっこりと黒い笑みで笑うとの右手に光が宿る。開かれた掌の上には杖。
呪文を唱え杖を振ると、ポンポンと軽快な音を立てて3着の衣服が現れる。
「翼宿は服だけでOK、井宿は後十字架。魏は杖のレプリカv」必要な物を魔法で作り出していく。
3人にそれぞれ服を渡して念を押す。


「これはハロウィンの魔法、今日が過ぎたら消えちゃうから。
 12時過ぎて外ふらふらしてたら、服消えて変態扱いだから注意してね?」





        ■ □ ■ □ ■ 







翼宿達は先程が器用な手つきで作った見本を見ながら、かぼちゃを相手に奮闘中。
井宿はもう彫る段階まで進んでいて、翼宿はペンである意味芸術的な顔を書いてる。
一度作った事のあるという魏も、不器用ながらに頑張っていた。厨房から達の声が聞こえてくる。


「美朱!いいって言うまで味見は禁止!!」
ー!まだーー?」
「鳳綺さんはそれを…」


にぎやかな其処からは時々甘い匂いが漂ってくる。
外は日が暮れてきてもうすぐ夜。




                      お化け達のパーティーのはじまり









          ■ □ ■ □ ■  








テーブルの上には達が作った料理と、かぼちゃを使ったデザート。
その周りを囲むのは仮装をした七星達。
結局、翼宿は吸血鬼・井宿は神父・魏は魔法使い。可愛い悪魔の仮装をした芒辰と、女神の仮装をした鳳綺。
魏と対になる様にと美朱は魔女。本来なら仮装なんて出来ないはずの柳宿達も、の魔法で衣装チェンジ。
そしては天使。それも黒い羽の堕天使だ。服も髪も真っ黒な中に深紅の瞳が映える。





散々皆で騒いでから自室へ。
部屋の窓から外を見ると、庭のあちこちに大臣達の作ったランタンが置かれている。
オレンジ色の光を見ていると暖かい気持ちになる様な気がする。
去年のハロウィンで聞いた話を今年は実行してみようと心に決めていた。
それはハロウィンの言い伝え、それは未来の結婚相手を知る方法!!

はゆっくりと一度深呼吸をすると、T字型に靴を脱いだ。
そして歌を口ずさみながら、後ろ向きで寝台に向かう。
このまま一言も口を利かずにベッドに入れば、夢の中で未来の旦那様に…!!
ドキドキしながら一歩一歩寝台に近づいて行く。




、入るで?」


声が聞こえたかと思うと、返事をする前に扉が開いた。


「翼宿!?」


思わず訪問者の名前を呼ぶ。
『しまった…!』と口を押さえてももう遅い。はもう少しだったのに…。と肩を落とす。
一言も口利いちゃいけなかったのに…。。


「?…どないしたん?」


翼宿はの様子を見て、首をかしげる。
一方は怒る気も無くなったと言う様に大きく溜息をついた。


「ハロウィンのおまじない…。未来の結婚相手が分かるってやつ」

「結婚相手?」

「そ。」

「俺やろ」


邪魔をされた仕返しか、少し意地悪な反応を返してみる。
「翼宿かどうかなんて分かんないよ?」と。
そのままちょっと苛めてやろうかと「心変わりして攻児を好きになるかもしれないし?」等と続けてみる。


「心変わりなんてさせへんわ」


「はいはい」とは笑う。
心変わりなんてする訳が無いのに…。
翼宿と目が合うと、思いついたように翼宿が言う。


「あ、そや。Trick or treat!」

「今お菓子なんて無いよ?」

「じゃー悪戯してもええねんな?」


嫌な予感を覚えながらもは聞き返そうと、翼宿を見上げる。
ぐらっと視界が揺れたかと思うと、背中に寝台の感触。そして自分の上に思いっきり笑顔の翼宿が。


「あの…翼宿、さん?……何する気でしょう?」

「悪戯v …愛してるで、 vv」


そう言いながらの首筋に顔を埋める翼宿。
外を見れば月が真上に昇ろうとしていた。もうすぐ深夜。…っと言う事は……!?


「待って!もうすぐ服消えるっ!!」

「好都合やん?」

「帰れーーーっ!!!」












この後どうなったかを知るのは

ハロウィンの夜、地上に現れて騒ぐと言われる悪魔や妖怪達だけ…。











  ☆管理人からのコメント☆

夏海様のサイトでのハロウィーンフリー配布夢小説w
翼宿さん、ちょっと強引目で好き〜vvvvv
私、最近翼宿は受けとしか捕らえてなかったので(爆)、もうカッコよすぎです〜
強気な時の翼宿って、きっとこんなんだろうな〜
素敵vvv
愛してるよ〜vvvvvvvv(爆)

夏海様、素敵な小説、どうもありがとうございました!!



※HP用に多少加工いたしました。
 尚内容はまったく変わりありません!