最悪、最悪、最悪。
あたしはこの日いい事が起こった例が無い。
小学生の時には交通事故にあい、
中学生の時には財布を落とし、
高校生の時には好きだった人にこっ酷くフラれた。
それ以外にも数えたらキリがない位色んな事があった。厄日としか言いようがない。
きっと今年も何か嫌な事が…。あたしは殆ど無意識の内にそれを警戒していた。
その日がホワイトデーだという事も忘れる程に。
君と居る3月14日
「!14日どっか行かへん?」
「…無理」
「なんか予定あるん?その後とかでもええねんけど…」
「美朱達と出掛ける事になってて…。結構遅くなりそうだから…」
ゴメンね、とその場から逃げるように去る。
ちょお待てや。この前魏が「14日は美朱とデートなんだ」とか言うとったような…。
不思議に思っても、既にその場所にの姿は無い。
どうゆう事やねん…。
それから、何回かその話題に触れた。
が、は何も言う事無く…。翼宿の不安は募るばかり。
美朱に聞こうにも聞いていいのか分からない。第一なんて切り出せば…。
そんな事を思っている間にホワイトデーは刻一刻と迫ってくる。
「…何でやと思う?攻児」
「うーん…。嫌われたんとちゃう?」
「なッ……!?」
「それかホワイトデーには別の男と会うから、幻狼とは会われへんとか…」
「!?」
真剣に相談している人一名・親友の反応見て楽しんでる人一名。
攻児に言われた事が翼宿の頭の中に響く。
物事を悪い方へ悪い方へ考えてしまう。何で…?と。
嫌われた?別の男と?
……そんなん信じられへん。
信じられへんけど……――――
ずっと言おうって思っとった
きっかけがあれば… そう思ってた
でもそんなんは中々無うて……
ホワイトデーのプレゼントとしてなら、渡せるって思ったんや
せやのに……
どないしたら ええんやろ……
■ □ ■ □ ■
ピーンポーン
ホワイトデー当日の夜。の家のチャイムが翼宿の想いとは反対に虚しく響く。
中からの反応は無い。合鍵は持っているのだけれど……どうしようか。
もう一度チャイムを鳴らしてみる。やっぱり中からの反応は無い。
もう一度、と三度目のチャイムを鳴らした時、扉が開いた。扉の向こう側からが少し遠慮がちに顔を出す。
「?」
翼宿の姿を見て驚きに目を丸くする。
何処か気まずく、二人の間に沈黙が流れる。先に口を開いたのは翼宿だった。
話あんねんけど…。その言葉には少し戸惑うような仕草をして、入ってと短い言葉で答えた。
「厄日ぃ!?」
から全ての事情を聞いた翼宿は思わずそんな声をあげた。
そんなんで俺避けてたんか…と溜息をつく。それと共に安堵が込み上げて来て、フッと笑った。
アホかお前は!と笑いながら、に軽くデコピンを決める。
「だってあたしにとっては重要な問題で……!!!」
「そんなん気のせいやて!」
今まで張り詰めていた空気が一気に解けた。
まるで子供をあやすかの様に、の頭をぽんぽんと叩く翼宿。
少し拗ねたは軽く頬を膨らませてみる。一頻り笑った翼宿の表情がふっと真剣な顔になった。
「あんな、。
人間てな、生まれてから死ぬまで喜んだり悲しんだりする回数決まってんねんて」
がうんうんと頷くと、翼宿は優しく微笑んだ。
「今まで3月14日に嫌な事しか起こってへんのやろ?
そやったら、これからはずっとええ事しか起こらなんって事やん。」
「…そっか……」
翼宿は持ってきた小さな紙袋から、小さい箱を取り出した。
大体の女の子は箱を見ただけでその中身が何か分かるだろう。
突然の事に驚きながらも、は顔の赤い翼宿を見つめていた。
「さん、俺と結婚してくださいッ!!」
嫌な事ばっかりで
毎年沢山泣いた 3月14日
君と一緒に過ごす初めての3月14日は
今までとは違う意味の 涙が零れた
あたしはこの日の事を 一生忘れないだろう
一番幸せな時を
君と居る3月14日を――――
☆管理人からのコメント☆
夏海ちゃんからのホワイトデーFDL小説ですvvv
すっごく素敵〜(>▽<)
まず設定に萌え萌え〜(≧▽≦)
素敵過ぎます〜!!!
そして翼宿のあの言葉〜!!
「今まで3月14日に嫌な事しか起こってへんのやろ?
そやったら、これからはずっとええ事しか起こらなんって事やん。」
くぅ〜!!!!!!!!!!
心のそこまでジ〜ンとした〜!!
こういうのを思いつく夏海ちゃんにマジ尊敬です〜(>▽<)
夏海ちゃん〜どうもありがと〜!!!!!!!!!!
※HP用に多少加工いたしました。
尚内容はまったく変わりありません!