★二人で★



現在の時刻23時50分。5月21日まであと10分。


「…翼宿、もう眠るのだ」
まどろみの意識の中で優しい声が聞こえた。
その声の主は間違いなく明日…10分後誕生日を迎える井宿であった。
そう翼宿の傍で優しく囁きながら綺麗なオレンジ色の髪を手に通す。
手の感覚が心地良いのか翼宿は静かに瞳を閉じ、幸せそうに微笑みながら
口を開く。


「…ん〜…ダメや…ちちりのたんじょーびは…おれが最初におめでと…言うんや……」
と、誰もがノックアウトないじらしい言葉を発すると小さく身を捩り
井宿へと視線をさ迷わせる。
その発言に井宿はさも嬉しそうに翼宿を見つめるとそのまま髪へと軽く
口付けた。
「もう寝るのだ…」
もう一度微笑み掛け、なんとか翼宿を心地よい夢の世界へと
誘わせようと試みる。
が、しかし翼宿は小さく笑うと震える瞳を井宿と合わせた。
「せやかて…ちちりは…いっつも…一人で…たんじょーび過ごして
きたんやろ…?…やけど…今日からは…オレがいるんや……せやから…
最初におめでとう言うまでは…眠れへんやろ…?」
「…翼宿……」

そっと翼宿の頬へと手を伸ばし、そのまま……唇へと口付けた。
21日まで残り…5秒、4、3、2、1………0……。
その瞬間…丁度時計の針が24時を指した。
二人はゆっくりと唇を離すと微笑み合った。
「…へへっ…おめでとーさん…ちち……「井宿ーー!!」

翼宿が甘い言葉を言いかけた瞬間……バァンと勢い良く扉が開く音がした。
…いや…、ドアが吹っ飛んでいった。
二人は突然の事にぱっちりと目を見開き吹っ飛んだドアを目で追い、
壁に激突すると声の主へと目を向ける。
ドアを吹っ飛ばせる程の怪力の持ち主。この声。
間違い無い。
「「おめでとーv井宿〜vv」」
と、柳宿と美朱は揃って口にした。
良く見るとたくさんの食料を手にしている美朱。
「…いや〜…お取り込み中悪いと思ったんだけどよ…;」
と一応弁解する鬼宿。
「おめでとうございます!井宿さん!!」
と、全く悪気の無い笑顔の張宿。
「おめでとう、井宿」
と星宿までもが微笑んでいる。
「皆で祝いに来たぞ」
と軫宿も微笑む。
「や〜ね〜二人とも何て顔してんのよ〜、祝いに来たのよ〜、井宿の
誕生日を!!」


突然の出来事にあと数秒で眠りにつくところだった翼宿も完全に覚醒した。
「な、なんやねん!お前ら!!」
「だ〜か〜ら〜、言ってるでしょ?井宿の誕生日を祝いに来たのよ!!」
井宿もその微笑ましい(?)光景を見てついつい笑いを零してしまう。
「クスクス…皆な有り難うなのだ♪」
ニコニコと微笑みながら翼宿と柳宿のやりとりを見つめる。
「…はぁ〜…、もうええわ…」
最初におめでとうは言えたし…と小さく呟くと井宿と目が合い思わず
笑ってしまった。
「いいわね!じゃあ今日は騒ぐわよ〜!!寝かせないから覚悟しなさいよ〜??」

…こうして二人のラブラブは壊されたのであった。
だが井宿はその日、仲間の暖か〜い心を感じたそうな♪ 











  ☆管理人からのコメント☆

井宿の誕生日の日にあっきー様から頂いた小説です!
素敵です〜w
本当にありがとうございました!!!!!

これからもこんな私ですがよろしくお願い致します☆


※HP用に多少加工いたしました。
 尚内容はまったく変わりありません!